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なぜ人材流出が起こるのか?原因と防止策を解説

2023.08.25 コラム

目次

はじめに

近年、労働人口の減少により、さまざまな業界で人手不足が起こっています。優秀な人材の流出は、生産性の低下につながる恐れがあるなど、企業にとって大きな損失です。 働き方や価値観が多様化する中、人材の流動性が高まる一方で、 どれだけ新しい人材を確保しても根本的な原因が特定できなければ、人材流出は止められません。 そこで今回は「人材流出の現状や原因、防止策」について、わかりやすく解説いたします。

人材流出の現状

新卒社員の3年以内の離職率は30%を超えており、毎年多少は増減するものの、3人に1人が3年以内に離職しています。この状況は、多様な働き方が選択できる社会となり「理想の働き方やキャリアアップを求めて転職することは当然」という価値観が浸透してきた、昨今の世相も影響しているといえます。 これまでの日本社会は、新卒で入社した会社に定年まで勤める終身雇用制度が一般的でした。しかし、2019年には経団連が「今後、終身雇用制度を維持していくことは難しい」とメッセージを発し、終身雇用制度は崩壊していることが分かります。変化の激しい現代において社員を定年まで雇い続けることは、企業においても難しくなっている現状があります。

人材流出が起こる原因

人材流出が起こる原因として、さまざまな理由が考えられますが、主に以下の5つがあげられます。

<人材流出の主な原因>

・業務過多などの労働環境 ・人間関係に対する不満やトラブル ・給与などの待遇が不十分 ・スキルアップ・キャリアアップができない ・社風や企業文化に不満がある

業務過多などの労働環境

優秀な社員ほど、他の社員と比べてパフォーマンスが高いため、過度に業務が集中する傾向にあります。入社当初は、本人もやりがいを感じていたとしても、過剰な業務が重荷となり、やがて退職の引き金になってしまうことは十分に考えられます。また、採用ブランディングに力を入れている企業に多い事例として、入社前のイメージとのギャップについていけないという場合もあります。

人間関係に対する不満やトラブル

同じ職場で働く人間関係に問題があれば、人材が流出しやすくなるのは当然です。1日の多くの時間を過ごす職場に相性の悪い人が多ければ、ストレスを感じ、退職を考える人が増えるのは無理もないでしょう。人間関係が悪い職場では、コミュニケーションが停滞し、結果として仕事のパフォーマンスも低下します。近年はリモートワークが進み、社員同士だけでなく、商談ですら直接顔を合わせないことも増えました。しかし、オンライン・オフラインを問わず、コミュニケーションの不和が人材流出の一因となることを理解しておきましょう。

給与などの待遇が不十分

業務量に対する報酬が見合っていない場合、モチベーションが低下し、人材流出につながることは多く見られます。ひとえに業務と給与のバランスが不釣り合いであると言っても、手取りが少ない、残業代が支給されていないなど、不満が生まれる理由をきちんと考えることが大切です。また、地域により最低賃金が定められていますが、法定ラインギリギリの水準では他の業界・職種に転職しようとするパターンや、ある程度の給与を受け取っていたとしても、同業他社よりも低い給与水準であれば他社への転職を検討するパターンも考えられます。

スキルアップ・キャリアアップができない

業務そのものに対する不満はなくても、将来的な成長につながる業務を任せてもらえない、スキルアップやキャリアアップの機会がないと感じる職場は、離職につながりやすい環境です。社員が新たなキャリアを検討した際、希望するポジションやポジションの空きがない場合には、退職を検討するケースもあるでしょう。全ての希望を叶えることは難しくても、社員の希望に寄り添った仕組み作りが大切です。

社風や企業文化への不満

企業にはそれぞれ独自の社風や文化があります。入社したものの、しばらく働くうちに自分の価値観と会社の方針にズレを感じてしまうケースがあります。社風が合わなければ、長く働き続けるほどストレスを感じやすく、離職の可能性が高まります。また、本人の希望に反した人事異動でストレスを溜め込んでしまう場合もあります。社風や企業文化を全社員にマッチさせることは難しいですが、組織としての課題が見つかる場合もあるため、不満を伝えられた際には、耳を傾けてみることも大切です。

人材流出が与えるリスク

人材流出にはどのようなリスクがあるでしょうか。ここでは、代表的な例をご紹介します。

<人材流出によるリスク>

・コスト増加 ・顧客やノウハウの流出 ・組織力、企業イメージの低下 ・重要ポストの後継者問題

コスト増加

人材が流出することで、これまで費やしてきた教育や採用コストが無駄になる可能性があります。自社の在籍期間が短い場合、損出はより大きくなります。また、新たな人材を雇用するための採用コストや、次の人材を教育するための教育コストも発生します。さらに、次の人材が見つかるまでは既存の社員で当該業務の穴埋めを行わなければならず、残業や休日出勤が増えるなど、労働環境が悪化する懸念もあります。

顧客やノウハウの流出

業務上獲得したさまざまなノウハウを持っているため、このようなノウハウが他社へ流出すると、自社のウィークポイントなどが漏れる可能性もあり、自社の売上低下、人脈流出などのリスクがあります。特に外部との接点が多い営業職などの人材が競合他社へ転職する場合、培ってきた人脈や顧客が流出、離脱する可能性があります。 顧客との接点が強い人材ほど、顧客の信頼が企業ではなく人に紐づいている場合があるため、可能な限り事前にリスクをキャッチし、顧客との接点を絶やさない工夫を持つことや、そもそも顧客を個人で管理しないなどの工夫が必要です。

組織力、企業イメージの低下

特に高いスキルを持つ人材は競合他社との争奪戦になるため、より流出しやすいです。そして高いスキルを持った人材が流出すると、そのスキルやノウハウを社内に伝播していくことが難しくなり、組織力の低下につながります。また退職者が多い企業は、社会的な反応として、マイナスなイメージを持たれがちです。企業イメージの低下は、採用活動や販売活動にも少なからず影響を与え、組織として体力を削っていくものであることを理解しておく必要があります。

重要ポストの後継者問題

例えば事業責任者など、重要なポストの後継者として育成してきた人材が離職する場合、これまでの教育コストが無駄になるだけでなく、早急に次の人材を育成する必要があります。業務の中には特別なスキルが必要なものがあるため、新たな人材をうまく育成できなければ、最悪の場合、生産性低下や業績悪化につながる可能性もあるため注意が必要です。

人材流出の防止策

人材流出は企業にとってマイナス要素が多く、防止策を講じておく必要があります。具体的な防止策としては、以下のものがあげられます。

<人材流出の防止策>

・人事評価制度を見直す ・さまざまな働き方に対応する ・労働時間をコントロールする ・待遇改善を図る

人事評価制度を見直す

与えられている業務に対して、適切な評価をされていないと社員が感じればモチベーションの低下につながります。同じ職場で働く社員同士で不公平感を抱くことがないよう人事評価制度を構築することは、経営課題のひとつであると言えます。

さまざまな働き方に対応する

価値観や属性の多様化により、一律の働き方を強制するのはかえって業務の非効率化を招きます。社員一人一人の状況に合わせた働き方を推進していくことも、離職防止につながる施策の一つであるといえるでしょう。また、社内のコミュニケーションを増やす取り組みも、職場の活性化や定着の一助となります。

労働時間をコントロールする

給与面などに不満がなくても、残業や休日出勤などの労働時間が離職率を高める要因になります。そのため、社員の労働時間を適切にコントロールすることが大切です。昨今はリモートワークの普及により、オフィスに出社せずに働く機会も増えています。あらかじめ勤怠管理のチェック体制を整え、業務を見直すなどして労働時間の把握と改善に努めましょう。

待遇改善を図る

社員の不満を取り除くには、給与や福利厚生などの待遇面の定期的な見直し、改善も必要です。それぞれの社員の能力に合った給与水準を定め、長く勤めることで得られるメリットの明示も重要です。全体的なバランスを考慮した待遇改善に取り組みましょう。

まとめ

離職を未然に防ぐためには、評価制度の見直しや働き方の管理だけでなく、積極的な研修の導入が効果的です。例えば、1on1ミーティングを通じて個々の社員同士がコミュニケーションを図る研修の機会を設けるなど、キャリアパスを考えていく時間を作ってみましょう。研修をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。

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