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ハラスメント研修 防止に効果的な研修の目的と内容を解説

2023.12.21 コラム

「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」により、2022年から全ての企業に「ハラスメント防止措置」が義務付けられました。職場におけるいじめや嫌がらせを防止するためには、全社員がハラスメントの定義を学び、職場環境の改善を実践する必要があります。
そこで今回は、「ハラスメントの防止に効果的なハラスメント研修の目的と内容」について解説します。

目次

ハラスメント研修の目的

 ハラスメントが発生する原因として、社員のハラスメントに対する認識のバラつきや、誤解が生じていることが挙げられます。ハラスメント研修では、ハラスメントの定義を知り、会社の方針や取り組みについて共通の認識を持ち、「ハラスメントを起こさない・起こさせない職場環境」をつくることが目的です。

職場環境の改善

厚生労働省が公表した「精神障害の労災補償状況」によると、社内でのいじめや嫌がらせなどによる労災認定は増加傾向にあります。
ハラスメントは、被害者だけでなく周囲で働く人や職場全体にも悪影響を及ぼして、職場環境の悪化を招きます。ハラスメントによって職場環境が悪化すると、コミュニケーション不足に陥り、生産性の低下にもつながりかねません。ハラスメント防止に有効なコミュニケーショスキルを習得することで、職場環境の改善を図ります。

参考:厚生労働省「令和4年度『過労死等の労災保障状況』を発表します」(令和5年6月30日発表)内、別添資料2「精神障害に関する事案の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001113802.pdf

ハラスメントの定義、種類を理解する

職場でよく起こるハラスメントである、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業などに関するハラスメントについて、厚生労働省がガイドラインを示しています。このように、具体的にハラスメントに該当する例・しない例を理解させ、自分自身の言動の振り返りを行うことも大切です。

参考:厚生労働省都道府県労働局雇用環境・均等部(室) パンフレット 「職場における・パワーハラスメント対策・セクシュアルハラスメント対策・妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!」(令和5年版)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/pawahara_gimu.pdf

また、ハラスメントには、無意識に行われるものもあるため、悪気がなくても意図せず相手を傷つけてしまうことを学ぶ必要があります。無意識のハラスメントが起きる原因と防止については、こちらの記事にまとめていますので、参考にしてください。

「無意識のハラスメントを防ぎ、よりよい職場を作るハラスメント研修」(令和4年9月9日)
https://cam-training.jp/news-column/11183

意識や価値観の違いの認識

ハラスメントを防止するためには、一人ひとりの意識や価値観の違いに気づき、相互理解を深めることの大切さを知ることが大切です。「自分が大丈夫ならば、相手も大丈夫だろう」という思い込みや固定観念をなくすことが、ハラスメントを未然に防ぐためには効果的です。

管理職向けハラスメント研修の内容

 管理職は、ハラスメントに関する法知識、ハラスメントの現状や影響、対策などを理解して、ハラスメント防止を実践していく必要があります。

「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」をはじめとする法的な知識

厚生労働省が示すハラスメントの概要や類型、ハラスメントと認定される要件や、法改正によるハラスメント対策の強化や、関連法律である「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」についても、必要な知識を習得します。

参考:厚生労働省 リーフレット「2022年(令和4年)4月1日より、「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf

ハラスメントの現状、影響

ハラスメントによる労災認定は増加傾向にあります。どのようなハラスメントが発生して職場に影響を及ぼしているか、ハラスメントの現状を学びます。ハラスメントの傾向を知ることで、職場での防止対策や発生した場合の対応に活かします。併せて、ハラスメントが公になった際の企業価値へのマイナス影響や、防止措置の強化と対応を怠ることの社会的なリスクなども認識できるようにします。
また、カスタマーハラスメントや就活ハラスメントなど、多様化するハラスメントの現状を定期的に把握することも必要です。

ハラスメントへの対策

職場での具体的なハラスメント対策として、組織の方針、相談窓口、発生時の対応ルートなどについても周知します。
また、どのような言動がハラスメントに該当するのかを正しく理解できるよう、演習を交えて学ぶとより効果的です。管理職は社員 を指導する立場として、業務上の指導とハラスメントの違いを知ることも重要です。過剰にハラスメントを恐れ、適切な指導ができないと、社員の成長を阻害することになります。

一般職向けハラスメント研修の内容

 ハラスメントは、管理職だけが対策に取り組めば防止できるわけではありません。組織全体の取り組みとして、一般社員も研修を通してハラスメント防止について学ぶことが重要です。

ハラスメントの概要

パワーハラスメントをはじめとする主要なハラスメントの要件を学び、管理職同様に何がハラスメントに該当するのかを知らせます。また、多様な価値観や相互理解の大切さなどを学び、ハラスメントに関するリテラシーの向上を図ります。

ハラスメントのリスクや影響

職場で起こり得るハラスメントの具体例とともに、ハラスメント発生による職場への悪影響や、企業としてのリスクを周知します。
そして、誰もがハラスメントの加害者になるリスクがあることを学び、自分自身の言動を振り返ります。集団での言動も、人間関係の切り離しや、人数による優越的な関係を背景としたハラスメントに該当する可能性があるため、これらについても理解を深めることが必要です。

ハラスメントを受けたときの対処法

ハラスメントの被害を受けた際に、相談したことを理由に不当な扱いをされないことが法律で定められています。また、社内に相談窓口があることも周知しましょう。
相談窓口に相談した際、ハラスメントとしての要件が満たされておらず認定されなかったとしても、職場のコミュニケーションや人間関係の改善に役立つことなどを伝え、ハラスメントが発生しにくい職場づくりを啓蒙しましょう。

ハラスメント研修を効果的に行うポイント

ハラスメント研修を効果的に行うには、組織全体で取り組み、定期的に知識をアップデートしていくことが重要です。

組織的な取り組み

ハラスメント防止を目的とした、社員全員のリテラシー向上を組織全体の課題として取り組みます。経営トップが経営課題として取り組むことを表明して、ハラスメントのない適切な職場環境づくりを浸透させます。

ケーススタディ

知識のインプットだけでなくケーススタディを取り入れて、どのような場合にハラスメントが適用されるのか、その対処法を考えることで知識の定着を促します。
グループワークも活用して、価値観がさまざまであることや、個人によってものごとの感じ方に差があることなどを学ぶことも、新しい気づきや意識の変革につながります。

eラーニングやテストを活用した定期的な啓蒙

集合研修などを行った後に、eラーニングやテストでフォローアップしていくことで、ハラスメント防止の定着状況や課題を把握します。また、ハラスメントの現状について定期的に啓蒙することで、リテラシー向上にもつなげられます。

まとめ

今回は、ハラスメントの防止措置に対応するための効果的な研修のポイントを解説しました。法令についての知識や防止・対応策、コミュニケーションの改善など、対応しなければならない内容は多岐にわたります。法知識といった専門的な内容の研修を行うためには、社外講師の研修を活用することが効果的です。
ハラスメント研修をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。

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