新入社員の早期離職を防ぐには?
離職につながるミスマッチの改善策
新入社員の早期離職は、企業にとって改善が必要となる重要な課題の一つです。採用や教育のコスト面をはじめとして、企業イメージの低下など様々なデメリットがある新入社員の早期離職を防ぐには、新入社員の離職理由を把握して改善策を実施する必要があります。
そこで今回は、「新入社員の早期離職の原因となるミスマッチと改善策」について解説します。
目次
新入社員の早期離職の実態
厚生労働省の調査データによると、大卒新入社員の32.3%が3年以内に離職しており、この傾向は継続しています。さらに在籍期間別で見ると、1年目(10.6%)、2年目(11.3%) 、3年目(10.4%)と、入社初年度で1割が離職しています。
業種別の離職率をみると、サービス業、教育・学習関連、小売業などが相対的に高く、電気・ガス・水道などのインフラ業、製造業、鉱工業などが相対的に低くなっています。休日などの労働環境や待遇面、業種ごとで携わる仕事のスパンの違いなどが、この差につながっているようです。
参考:
・新規学卒者の離職状況(令和2年3月卒業者)
・新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況
・新規大卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)
新入社員が早期離職する理由
新入社員の早期離職の理由として、よく挙がるものと最近の傾向について紹介します。
入社後のギャップ
入社前の期待と入社後の現状との違いに新入社員が失望してしまうことは、早期離職の理由として、常に挙げられるものの一つです。
社会人経験のない新入社員の多くは、入社後に理想と現実のギャップをある程度は感じるものです。その中で、早期離職につながってしまうほど深刻なギャップを起こさないように、採用や内定の段階から、自社についての理解、入社後の職務、待遇面などを理解してもらえるようなコミュニケーションが必要です。
ギャップを感じるこの現象は「リアリティーショック」とも呼ばれ、リアリティーショックが起こると、仕事へのモチベーションが保ちづらくなります。
労働条件や給与などへの不満
勤務時間や休日などの労働条件や給与などへの不満も、早期離職の主な理由の一つです。「残業が多い」「有給休暇が取得しにくい」など、労働環境への不満や悩みは、職場へのエンゲージメントを低下させます。
また、給与面では「仕事量や内容からみて給与が低い」という現在への不満や「何年か勤務しても給与が上がらない」などの将来への不安が、早期離職の原因となっています。
職場の人間関係
社会人として仕事を進めていくためには、さまざまな年代や立場の人との関係性が必要です。新入社員は、仕事をする上でのコミュニケーションや職場での人間関係に不慣れで、ストレスを抱えやすい状態にいます。
職場で仕事をする上でのコミュニケーションや関係性づくり、人間関係の割り切り方などについての知識が不足していることもあり、新入社員が人間関係について悩み、早期離職してしまうケースがあります。
ホワイト企業すぎる
ホワイト企業すぎて、成長や挑戦ができない職場だと考え、早期離職につながることが最近の傾向としてみられます。
長時間労働防止をはじめとした働き方改革の取り組みやハラスメント対策により、職場の雰囲気が緩い、スピード感がないと印象を持つ新入社員がいます。このような認識のずれを解消するために、意欲的な社員の成長を積極的に支援することが必要です。
新入社員の早期離職によるデメリット
新入社員の早期離職による、さまざまなデメリットについて紹介します。
採用、教育コストが無駄になる
新入社員の採用や教育には多くのコストがかかります。採用広告や広報、説明会や面接などの採用活動、教育プログラムの準備や教育担当者の人件費など、多くの予算やリソースを必要とします。
新入社員が早期離職すると、予算や社内のリソースが全て無駄になってしまいます。また、離職後には欠員が出るため、新たな人材確保のための予算が必要になります。
企業のイメージ低下
早期離職が増えると、「定着率の良くない企業」といったイメージがついてしまうデメリットがあります。採用や転職関連のメディアなどに、離職者がネガティブなコメントを書き込むこともあり、企業イメージの低下につながります。
これらは、その後の採用活動にも影響を与え、悪いイメージの払拭にリソースを割く必要が出てきます。
他の社員の負担増加
新入社員が早期離職することで欠員が出るため、他の社員の業務負荷が増えて、モチベーションの低下を引き起こすリスクがあります。
また、早期離職を目の当たりにすることで、自社には問題があるのではないかという疑念にもつながり、離職の連鎖を招く恐れがあります。
新入社員の早期離職を防ぐ方法
新入社員の早期離職を防ぐために有効な対策について紹介します。
採用のミスマッチをなくす
入社後のギャップは早期離職の要因です。これを解消するために、採用の段階から自社の企業文化や業務内容について的確に伝えることが必要です。また採用担当者は、学生の性格や適性を把握して、ミスマッチな採用をしないよう努めます。
また、給与や労働時間、勤務地などの条件は、企業説明会などでわかりやすく説明をして誤解がないようにします。
企業文化や職場の雰囲気などは、採用担当者からの説明とともに入社3〜5年目の先輩社員から伝えることも、ミスマッチの回避に効果的です。
労務管理の徹底
採用時に説明した労働時間や休日などの条件が守られるよう、労務管理の徹底が必要です。フレックスタイム制や労働時間の調整など、制度を整えて具体的な施策を実施し、労働環境での不満が出ないようにします。
待遇面での不満解消
給与に対する不満の解消は、早期離職を防ぐために重要な課題です。そのためには、目標設定や業績評価で、昇給やインセンティブがつく制度などの検討も有効です。生産性の向上への貢献により、自分の評価に反映される制度で離職率を下げた企業もあります。
メンター制度
メンター制度の導入など、新入社員が職場環境に慣れるためのサポートは、早期離職を防ぐ具体的な施策です。メンターは定期的に新入社員の相談に乗ったり、社内のネットワークづくりなどを支援したりします。年代の近いメンターが新入社員の悩みや本音を早い段階で把握し、上司や人事と連携して悩みの解消やモチベーション維持を行います。
体系的な研修の実施
新入社員の仕事に対する前向きな意識の形成や業務スキルの習得など、体系的な研修の機会を設けることで、早期離職を防止します。
社会人としてのビジネスマインドやマナーを学ぶ研修、職場でのメンタルヘルスケア、キャリアデザインなどを通して、組織の中で自分がどのように働き成長していくかを自覚できるようにします。
また、意欲的な新入社員が成長の実感をスピーディーに得られるように、スキルアップのための研修も効果的です。
まとめ
今回は新入社員の早期離職につながる原因と改善策について紹介しました。新入社員が入社後に感じるギャップを解消するには、採用段階からミスマッチ防止のための説明や入社後の体系的な研修の実施が効果的です。新入社員と企業の認識の擦れ違いをなくすためには、新入社員研修の実施も有効です。
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