パワハラと指導の違い
パワハラが起こる原因と適切な指導方法を解説
職場で発生する嫌がらせであるパワーハラスメント(以下、パワハラ)は社会問題となり、企業や組織ではパワハラ防止の取り組みが義務付けられています。
管理職はパワハラを引き起こさないために、部下への適切な指導方法とパワハラの違いを知っておく必要があります。
そこで今回は、「パワハラと指導の違いと、管理職としての適切な指導方法」について解説します。
目次
パワハラと指導の違い
パワハラと指導は、言動の目的、必要性などに違いがあります。
指導は部下の成長を促すことが目的で、業務に必要なコミュニケーションです。一方でパワハラは、職場での有位な立場を利用して相手に苦痛を与える、相手を馬鹿にすることです。そのため業務に必要のないこと、例えばプライバシーへの干渉や人格否定などはパワハラにあたります。
管理職は、遅刻の繰り返しや無断欠勤などの勤怠の問題や、業務に支障を来す言動について、一定レベルの厳しさで部下を指導する必要があります。その際の態度やタイミングなどによってはパワハラと捉えられる可能性があるため、指導とパワハラの違いも認識する必要があります。
パワハラは、イライラとした威圧的な態度で部下に精神的な負担を与えます。また、暴力や物を投げるなどの攻撃的な行動を伴うことも、ハラスメントに該当します。
適切な指導の場合、タイムリーに問題を指摘したり、アドバイスしたりします。相手の状況を考えて、部下の聞く準備ができているときに、落ち着いた冷静な態度でコミュニケーションを取ります。
ハラスメントが起こる原因
ハラスメントにはパワハラの他にも、セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)や、妊娠・出産・育児に関するハラスメントなどがあります。これらへの対策は、事業主に義務付けられています。
職場でハラスメントが起こる主な原因として、以下の4つがあります。
・ハラスメントに対する認識不足
・人権や多様性などへの認識不足
・個人の意識の差と無意識の偏見
・マネジメントやコミュニケーションスキルの不足
ハラスメントに対する認識不足
ハラスメントに対する認識や理解の不足が、ハラスメントが起こる原因の一つです。厚生労働省は、2020年に職場での対策強化、2022年には中小企業を含む全ての組織での対策を義務付けています。そのため、近年のハラスメント防止の知識を理解しておく必要があります。
厚生労働省によるパワハラの定義の抜粋を以下に紹介します。
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であり、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすものがパワハラです。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワハラには該当しないとされています。
セクハラは、職場において行われる性的な言動により、労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることです。
妊娠・出産・育児休業に関するハラスメントは、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業などを申請・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。
これらの定義を理解するためには、具体的な事例の紹介を含む、職場での研修などが有効です。
人権や多様性などへの認識不足
人権や多様性などへの認識不足も、ハラスメントの原因になります。多様な価値観が社会で尊重されるようになり、これまでの認識や考え方を変える必要性も出てきています。企業や公的機関などでも、人権や多様性についての職場内研修が定期的に実施されるようになりました。
個人の意識の差と無意識の偏見
人の価値観はさまざまですが、個人の意識や価値観が異なることを認識していないと、自分の考え方を押しつけてしまうことになります。無意識のうちに、ハラスメントになる言動をしてしまうこともあります。
マネジメントやコミュニケーションスキルの不足
管理職のマネジメントやコミュニケーションスキルの不足も、ハラスメントが起こる原因です。マネジメントが上手くいっていない場合、管理職が感情的なコミュニケーションを取ってしまうリスクがあります。
管理職が指導のつもりでも、部下の人格を否定するような言葉を使う、威圧的な態度を繰り返すなどのコミュニケーションはハラスメントにあたります。
ハラスメントの発生を防ぐためには、管理職が適切なマネジメントを実施し、部下やメンバーの課題解決や指導に効果的なコミュニケーションスキルの習得が必要です。
パワハラを起こさないための指導方法
パワハラを起こさないためには、管理職やリーダーが適切な指導方法を学ぶ必要があります。
前提としてパワハラ全般について理解して、さらに人材を育成・指導するためのスキルを身に付けておくことが必要です。
部下を指導する際には、次のようなスキルが役立ちます。
・ティーチング
・コーチング
・フィードバック
・部下のタイプ別の指導方法
どの指導方法も部下の立場に立って、褒めたり、能力を伸ばしたりする指導方法です。
ティーチング
ティーチングは、仕事の具体的なノウハウや技術を教えて、業務上の具体的な解決策を提示する指導方法です。
コーチング
コーチングは、上司が効果的な質問をすることにより、部下の考えを引き出して指導する方法です。相手を理解するための話の聞き方や、適切な頻度での声がけなどを行います。
フィードバック
フィードバックでは、部下のスキルや実績について、目標にどの程度到達しているかを客観的、論理的に伝えます。良い側面はポジティブに褒めて、モチベーション維持を図ります。解決すべき課題や改善点についても、「なぜ改善が必要か」という理由や改善することのメリットなどを伝え、改善に向けた方法も指導します。
部下のタイプ別の指導方法
相手の好き嫌いで指導方法を変えてはいけないのは当然です。しかし、部下のモチベーションやスキルを見極めて、タイプに合ったアプローチを行うことは効果的な指導方法です。ティーチングとコーチングを上手く使い分けて、自主性を引き出したり、問題に直面している部下へ解決策を提示したりします。
管理職の中には部下に改善を促す指導に関し、悩みを持つ人が少なくありません。パワハラを防止するためにも、部下の問題点を改善する適切な指導方法を学んでおきましょう。
まとめ
今回は、パワハラと指導の違いについて解説しました。職場のハラスメントについては、その内容やポイントを具体的な例とともに学ぶ研修が重要です。ハラスメントが起こる大きな要因は認識不足にあるといわれています。
また、一方で部下の指導方法に悩む管理職も多いようです。研修を通じて適切な指導スキルを身に付けることが有効です。
社員研修をご検討中の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。