女性活躍推進を正しく理解し、誰もが働きやすい環境づくりを!-社員教育のCAM
目次
- はじめに
- 女性活躍推進法とは
- 女性活躍推進法が制定された背景
- 企業における女性活躍推進の現状・課題
- 女性活躍推進を行うメリット
- 女性活躍推進を考える上でのポイント
- 企業が取り組むべきラインケアのポイント
- まとめ
はじめに
2022年4月「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」の実現を目的として、女性活躍推進法が改定されました。この法改正により、女性管理職の増加を目指す動きが進んでいます。一方で帝国データバンクによると、自社の管理職を占める女性の割合は平均9.4%と過去最高を更新したものの、依然として低い数字で多くの課題があります。
そこで今回は「女性活躍推進の背景や課題、推進を進める上でのポイント」について、分かりやすく解説いたします。
女性活躍推進法とは
女性活躍推進とは、仕事を通して女性の活躍を支援・推進することを目的としており、以下の3つの基本原則があります。
- 『女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること』
- 『職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること』
- 『女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと』
※引用:厚生労働省|女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要
このように企業に対して、働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる職場づくりや、仕事と家庭を両立できる制度づくりの推進を求めています。
女性活躍推進法が制定された背景
「男女共同参画社会基本法」や「男女雇用機会均等法」など、法整備は進んでいるものの、未だに男女の格差が残っているのが現状です。少子高齢化が進み、労働人口の減少が深刻化する中で、企業が持続的に成長していくためには、女性のライフステージに合わせたキャリア形成への理解や、現場の支援を充実させ、どの世代の女性も活躍できる環境を整えることが解決策の一つです。
企業における女性活躍推進の現状・課題
女性が職場で生き生きと働くことを目指す「女性活躍推進」ですが、実際には多くの課題が残ります。女性活躍を阻む問題点として、以下の3つが考えられます。
女性活躍推進の目的が明確でない
女性の活躍を望んでいながらも、女性活躍推進の目的や意義を明確にできていない企業は少なくありません。女性活躍推進の目的や意義が浸透し、推進力を高めることに成功している企業は、目標とすべき姿をビジョンとして掲げており、「〇年後までに女性管理職の比率を〇%まで引き上げる」といった具体的な数値目標を設定して取り組んでいます。
男性中心の企業風土
日本の企業では、女性であることを理由に昇進・昇格の対象から外れるなど、女性が管理職になるチャンスが少ないと言われています。「家庭を持つ女性に対して重要な仕事を任せない」といった慣習や、女性自身のキャリア形成に対する意識の低さという問題もありますが、仕事を与えられないことが原因で、早期に退職するケースが多いと言われています。そのため、多くの企業で管理職適齢期にあたる女性社員が少ないことが現状です。女性活躍推進ができている会社では、年齢・性別を問わず登用する根本的な意識の改善や古い体質からの脱却に成功しています。
ロールモデルがいない
厚生労働省が発表した『2021年度雇用均等基本調査』によると、課長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は53.2%で、全管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は12.3%でした。先進国では30%以上、フィリピンでは約50%を女性が占めるという結果からも、日本の女性管理職の少なさがわかります。また、管理職に対して「残業が多い」「緊急対応を迫られる」といったマイナスイメージを抱く人も多く、家庭を持つ女性にはこれらがネックとなり、昇進に対する希望が男性より低い傾向があります。
さらに、社内に女性管理職のロールモデルが少ないことは、女性社員がキャリアプランを考える際にネガティブに作用し、昇進のチャンスがあっても不安要因になりかねません。
これらの女性活躍推進の現状を打破するためには、女性が仕事を続けたいと思えるような環境づくりを企業全体で進めていくことが重要です。
女性活躍推進を行うメリット
女性活躍推進は、女性の社会進出を後押しすることを目的としていますが、働くことを望む女性だけでなく、企業にも多くのメリットをもたらします。以下に、3つのメリットについてご紹介します。
優秀な人材を確保できる
社員や管理職の比率が男性に偏っている企業では、優秀な女性を十分に活用できていない状況であると言えます。女性も男性と同じように活躍できる環境を提供することで、企業の競争力は高まります。また、女性社員の積極的な採用や管理職への登用をはじめ、育児や介護に対する支援や休職後の復帰支援など、女性にとって働きやすい環境を整えることで優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
業務の改善が期待できる
女性を管理職へ登用することで、男性では気が付かなかったワークフローの改善点や、定型化してしまった作業の問題点を発見するなど、業務の改善が期待できます。見直しの過程で無駄な業務の廃止や業務の効率化を進めることができれば、コスト削減にもつながります。
企業イメージがアップする
女性活躍推進に取り組み、厚生労働大臣認定の「えるぼし認定」や経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」などを受けることで、女性の活躍を推奨する先進企業としてイメージアップにつながります。このような社会的に意義のある認定を受けた企業は女性求職者の目にも留まりやすくなるため、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
女性活躍推進を考える上でのポイント
ここまで女性活躍推進の現状や課題、メリットについて見てきました。最後に、女性活躍推進を進めるための2つのポイントをご紹介します。
女性社員が能力を発揮しやすい体制をつくる
女性社員が十分に能力を発揮できる体制をつくるには、入社後や昇進前・昇進後などのサポートが欠かせません。入社後には女性社員の能力開発支援や、定期的なキャリア面談を実施しましょう。管理職に対してマイナスイメージを持っている女性社員が多い場合には、不安点をヒアリングしマイナスイメージを払拭するなど、精神面でのサポートも大切です。
また、ライフイベントに左右されず女性社員が望むキャリア形成ができるような評価制度を取り入れることも重要です。さらに、多様な視点を持つための「アンコンシャスバイアス研修」や今後のキャリアを考える「キャリアデザイン研修」、管理職としてのスキルを習得する「マネジメント研修」など、スキルアップのための研修を実施することも効果的でしょう。
女性社員が働きやすい環境をつくる
立場や役職に関係なく、すべての女性社員が働きやすい環境づくりを推進することで、女性社員の定着や新たな人材の採用が進めやすくなります。ライフイベントや家庭に左右されず柔軟な働き方ができるよう、時短勤務やフレックス制度、テレワークなど、時間や場所に縛られず働くことができる制度の導入も効果的です。また、国が推進する子育てサポート支援も掛け合わせることで、仕事と家事・育児を両立する負担の軽減も可能です。さらに、先輩社員が後輩社員の相談を受けて精神的なサポートをする「メンター制度」の導入も、女性社員の不安を解消し、将来的なキャアリアアップをポジティブなイメージにできる有効な手段でしょう。
まとめ
女性活躍推進は、仕事を通して女性が個性や能力を発揮し、活躍できる社会づくりを目指すものです。しかし、これらの取り組みを進めることで女性だけではなく、年齢や性別・国籍・職務経歴などのバックグラウンドにとらわれず、すべての社員が働きやすい職場づくりができます。企業全体で働きやすい環境を整えることができれば、人材不足の解消や社員の定着率の課題解決にもつながります。
社員研修をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。
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