リスクマネジメントとは?
―現代のリスクマネジメントに対する考え方―
目次
はじめに
インターネットの普及により利便性が高まった一方で、「コンピューターウイルス」「個人情報漏洩」など、企業の信頼を揺るがす問題が発生することも少なくありません。その他にも「地震」や「水害」「感染症」など、企業にとって脅威になるリスクはさまざまなものがあり、リスクマネジメントの重要性が年々高まっています。
しかし、リスクマネジメントといわれても「具体的に何をすればよいか分からない」「どこから手をつければよいか分からない」といったお悩みをいただくことも多くあります。
そこで今回は、リスクを未然に防ぐために重要な「リスクマネジメントの目的とプロセス」について、わかりやすく解説いたします。
リスクマネジメントとは? ―リスクマネジメントの考え方―
「リスクマネジメント」とは、企業に脅威を与えるリスクを組織的に管理し、その影響を事前に回避、または事後に最小化することです。
- 危機が発生する前の活動である「リスクマネジメント」
- 危機が発生した後に行う「クライシスマネジメント」
の2つのプロセスを合わせた管理の概念を総称して使われています。
「クライシスマネジメント」以外にも「リスクアセスメント」「リスクヘッジ」など、知っておきたい言葉を簡単に説明します。
クライシスマネジメント
クライシスマネジメントとは、企業の存続を脅かすような重大な危機など、既存のマニュアルでは対応できない 重大な事故に備えて対応することです。リスクマネジメントよりも重大な事象、例えば自然災害やテロ、感染症など、日常の想定レベルを超える事案が発生した場合、その影響を回避して、被害を最小限に抑えるために対策を行うことをいいます。
リスクアセスメント
リスクアセスメントとは、職場にある危険性や有害性を特定し、優先度の設定や、リスクの除去・低減措置の一連の手順のことです。事業者はその結果に基づいて適切な労災防止対策を行う必要があります。また、リスクの見積もり、リスク分析およびリスク評価のプロセスも含まれます。
リスクヘッジ
リスクヘッジとは、考えられる危険に対してリスクの程度を予測し、何らかの対策を行うことです。思わぬ事態や避けられない危機的状況に対して、その影響を最小限に抑える対策や、軽減するための工夫が挙げられます。
リスクマネジメントが求められる背景
リスクマネジメント研修を検討する前に、なぜリスクマネジメントが現代社会で求められるのか理解することが大切です。
ここで、どの企業においても直面する危険性があるリスクを3つ紹介します。
SNSの発達
情報化社会の発展は、リアルタイムでさまざまな情報を取得できるようになった反面、思わぬトラブルを生み出すリスクが存在します。SNSは、匿名で自由な発信が可能であるが故に、嘘の情報、個人の主観による誹謗中傷など悪質な投稿も増加しています。悪質な投稿の中には、企業を攻撃するような内容や、企業の内部情報を関係者が発信して炎上するケースも見られます。誰でも情報を手に入れられ発信できる時代だからこそ、情報漏えいのリスクに細心の注意を払わなければなりません。
自然災害、感染症流行
多発する自然災害や感染症の流行も、リスクマネジメントが求められる背景の一つです。地震・集中豪雨・噴火などの自然災害は、場所や時間を選ばず発生し、企業経営にダメージを与えます。またコロナをはじめとした感染症の流行も同じく、ビジネス機会の損失につながる恐れがあります。特に日本は自然災害のリスクが高いため、日頃からリスクに備えておく必要があります。
グローバル化による競争の激化
グローバル化による競争が激しさを増す中で、海外市場への進出により習慣の違いに直面したり、海外マーケットの変動の波を受けたりする場面が想定されます。これによる売り上げの減少やコンプライアンスを逸した商法による社会的な信用低下といったリスクも考えられます。
リスクマネジメントの手段、プロセス
リスクへの対応方法には「回避・低減・移転・受容」の4つがあります。
回避:リスクを発生させない
リスクに対して前もって何らかの対策をおこなうことで、リスク発生の確率を低くすることです。リスクが発生しないという意味では最善策といえますが、日々変化するビジネスシーンではリスク回避が難しい場面が多いため、以下の3つの手段が現実的といえるでしょう。
低減:リスクの影響を小さくする
リスクが発生した際の影響を少なくすることです。例えば、地震などの自然災害を想定し、耐震補強や従業員が避難できるような場所を確保する、避難訓練を実施するといったリスクマネジメントを指します。
移転:リスクの影響を他に移す
リスクが起きたときに影響を第三者に移すことです。ただし、すべてのリスクが移転できるわけではなく、金銭的なリスクなど部分的な移転が可能な場合が多いです。例えば、災害に備えて保険に加入したり、生産拠点を全国各地に設けたりすることで、平時と変わらない営業を行えるように調整します。他にも、データの保管方法として紙ベースだけでなく、クラウドサービスを活用することも移転策の一つです。
受容:リスクを受け入れる
リスクの発生を認め、何もしないことです。特にリスクを低減するための対策をおこなわず、リスクを許容範囲内のものとして容認することをいいます。そのリスクに実施すべき対策が見当たらない場合や、コスト(ヒト、モノ、カネなど)に見合うリスク対効果が得られないといった場合にも、リスクを受容することがあります。比較的、発生頻度が少ないリスクや影響の小さいリスクは許容する姿勢も大切です。
ここで、基本的なプロセスをご紹介します。
一般的に「リスクの認識・特定」→「リスクの分析・評価」→「リスク処理手段の選択」→「実行」→「再評価」の流れで実施します。
〔企業がリスクマネジメントを行うための基本的なプロセス〕
- 関係者による協議
- 組織の状況整理、方針の確定
- リスクアセスメント(リスク特定・リスク分析・リスク評価)
- リスク対応
- モニタリングおよびレビュー
企業行動は全てリスクを伴うため、リスクの概念やリスクマネジメントの考え方、実践のプロセスを理解しておくことが大切です。リスクは“企業目的に対する不確実性をもった影響”といえるため、言い換えると”目的を明確に定めなければリスクも定まらない“といえます。
ただし、ノウハウがない状態でリスクマネジメントを実施すると、考え得るリスクが膨大になってしまい、業務を圧迫することや対応策までたどり着かないことがよくあります。
明確な目標の策定や確実なリスク評価を行い、優先度や工数を適切に算定し、適正なリスク管理を実践しましょう。
まとめ
リスクマネジメント研修を実施することで、自社のリスクを洗い出した上で予測できるリスクを回避、あるいはその影響を削減できるようになります。企業では、自社に影響するリスクを正確に把握し、適切な手法を用いて対処を行う必要があります。
リスクマネジメント研修をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。
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