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ストレスと向き合うレジリエンスとは?~レジリエンスを向上させるメリットと方法~

2021.06.25 コラム

ビジネス環境や労働環境が刻一刻と変化する中、困難や課題に直面し、日々プレッシャーを感じる人も多いのではないでしょうか。そのような中、環境変化に適応し、立ち直るスキルとして、今改めて「レジリエンス」が注目されています。そこで今回は、「レジリエンスを向上させるメリットと方法」をご紹介します。

レジリエンスとは

レジリエンス(resilience)とは、一般的に「復元力」「回復力」「弾力」を表す言葉で、逆境や困難、危機的な状況による強いストレスを受けても、これに適応し、跳ね返し、生き延びる力として心理学の分野で使われています。近年では、心理学だけでなく、組織論や社会システム論においても、リスク対応能力、危機管理能力として広く注目される用語になっています。

レジリエンスが注目される背景

レジリエンスが注目されるようになった背景として、ビジネス環境や労働環境の変化が挙げられます。厚生労働省が発表した、『平成30年度 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況』によると、「仕事や職業生活に関して強いストレスを感じている」労働者の割合は58.0%に及んでいます。ストレスの要因(複数回答可)としては、「仕事の質・量」が最も多く59.3%、次いで、「仕事の失敗、責任の発生等」が34.0%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が31.3%となっています。以上のことから、多くの労働者が、職場において業務や人間関係に対して、強いストレスに晒されていることが分かります。このようなストレスに適応し、回復するための能力として、「レジリエンス」に注目が集まったと考えられます。

レジリエンスと混同しやすい用語

レジリエンスをより正しく理解するため、混同しがちな「メンタルヘルス」 「ストレス耐性」 「ハーディネス」との違いを明確にしましょう。

メンタルヘルス

メンタルヘルスとは、心の健康を意味し、精神医学的な観点から心理的な負担を軽減したり、精神疾患にならないように予防することです。一方でレジリエンスは、起きた困難に対して、どのように適応するか、あるいは、いかに上手く回復できるかを意味します。

ストレス耐性

ストレス耐性とは、ストレスを感じた個人が、肉体的・心理的・精神的に受けたストレスに対して、どの程度耐えられるかを表した力のことを指します。レジリエンスを構成する要素の1つとして位置づけられています。

ハーディネス

ハーディネス(hardiness)とは、「精神的な強さ」という意味でも使われ、ストレスに直面した時に、自力で跳ね返すメンタル防御を指します。一方でレジリエンスは、ストレスを受けて傷ついても回復できるという特性を表します。

レジリエンスが高い人の特徴

レジリエンスの高さは、個人が元々持っている考え方や価値観、性格によって異なります。それでは、レジリエンスが高い人には、どのような特徴があるのでしょうか。レジリエンスが高い人の特徴を4つご紹介します。

思考に柔軟性がある

ストレスが掛かる状況においても、柔軟性の高い思考力があれば、発想を転換し、道を切り開くことができます。また、悪い結果が出た場合にも、事実を受け入れ、柔軟に目標を変更することができるため、変化に対する適応力が高いとされています。目標の変更は諦めのようにも感じますが、変化する社会に対応するための重要な行動と考えられます。

一喜一憂しない

レジリエンスが高い人は、目の前の状況や出来事に一喜一憂せず、物事を客観的に捉えることができます。反対に、起きたことに対して一喜一憂する人は、感情の消耗が激しく、精神的疲労が溜まりやすい傾向がみられます。「成功するだろう!と喜んでいたら、ぬか喜びに終わってしまったこと」や、「結果が出る前から諦めて、途中で投げ出してしまうこと」がある人は、レジリエンスを身に付ける必要があります。また、喜怒哀楽が激しい人も、自分の感情に振り回されてしまい、そのこと自体が大きなストレスに繋がる恐れがあります。

自尊心を持っている

レジリエンスが高い人は、自尊心を持っているため、自分の力を過小評価しません。自尊心は直ぐに身に付けられるものではなく、小さな成功体験を積み重ねることで徐々に形成されていくものです。指示された業務でも、自分なりに意味や目的を見つけて、取り組むことが、「自分ならできる」「きっと大丈夫」という自信に繋がり、やがて自尊心が形成されていきます。成功体験を通じた自尊心が、困難な問題に直面した際にレジリエンスを発揮させ、最初から「無理だ」と決めつけることが無くなります。

楽観的である

困難に直面した時、悲観的になってしまうと、進むべき道や改善点が分からなくなります。そんな状況でも「何とかなる」「きっと大丈夫」といった楽観的な思考を持っている人は、困難を前向きに捉え不安感に打ち勝ち、物事を解決することができます。

一方で、レジリエンスが低い人の特徴は下記の通りです。

  • 目の前の状況に一喜一憂しがち
  • マイナス思考で諦めが早い
  • 気持ちの切り替えが苦手
  • 自分のネガティブな面ばかり注目している
  • 挑戦しようとしない

レジリエンスを向上させるメリット

レジリエンスを向上させると、どのようなメリットがあるのでしょうか。レジリエンスを向上させるメリットを3つ紹介します。

ストレスが成長に繋がる

スタンフォード大学のケリー・マクゴニカル教授は、「ストレスを避けるのではなく、受け入れることで、レジリエンスが身につく」「ストレスは人の成長と健康、さらには幸福感に繋がる」という見解を示しています。本来、ストレスは心身に悪影響を及ぼすため、過酷なストレス状況に晒されたことによる労災も発生しています。しかし、レジリエンスを発揮して、ストレスと適切に向き合うことによって、困難な状況に立ち向かうチャレンジ精神集中力意思決定能力を身につけることに繋がります。

人間関係の改善

ストレスを感じる要因として、「対人関係」が大きな割合を占めています。レジリエンスを向上させることにより、精神的な柔軟性を持つことができるため、凝り固まった考え方に固執せず、自分自身を取り巻く周囲の環境に柔軟に対応することができるようになります。また、社員同士の縦や横の繋がりができていれば、困難や課題に直面したとき、相談や報告がしやすくなり、早期解決に向けたアクションを取ることができます。

自己評価力の強化

物事を広い視野から考えられるようになるため、正当な自己評価ができるようになります。自己評価が正しくできるようになると、自分の存在価値を認め、自信が持てるようになるだけでなく、自分自身の欠点にも冷静に向き合うことができるようになります。これにより、目標に向かって着実に努力をすることができるようになります。

レジリエンスを向上させる方法

レジリエンスは、生まれ持った能力ではなく、後天的に身に付け、伸ばすことができる能力です。それでは、一人一人がレジリエンスを向上させるには、どのようにしたらよいのでしょうか。アメリカ精神医学会は、レジリエンスを向上させる方法として以下の10項目を挙げています。

1. 周囲の人(職場・家族・友人)と良好な関係を作る

2. ストレスを感じることでも、克服できない問題として捉えないこと

3. 変化を受容する(また、変えられない状況を受容する)

4. 現実的な目標を設定し、それに向かって行動する

5. 自分に不利な状況でも、決断し行動する

6. 自己発見のための機会を探す

7. 自信を深める

8. 長期的な視点を保ち、ストレスの多い出来事を検討する

9. 希望的な見通しを持ち、良いことを期待する

10.自分自身の心と体をケアする

まとめ

変化の激しい現代社会において、環境に適応し、成功に向けて道を切り開くために、レジリエンスは不可欠です。レジリエンスは持って生まれた能力ではなく、努力することで、その力を向上させることができます。ぜひ、社員のレジリエンスを向上させる取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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