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メンタルヘルス「セルフケア」~ストレスとの上手な付き合い方~

2021.01.26 コラム

昨今の急速なグローバル化による競争の激化や、職場におけるセクハラ・パワハラなどのハラスメントの横行など、働く環境の変化により、不安や悩み、ストレスを強く感じる労働者の割合が高くなっています。さらに追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの流行拡大が、仕事だけでなく日常生活にも様々な影響を及ぼしています。そのため、企業が適切なメンタルヘルス対策を実施して、社員の心の健康をケアするだけでなく、社員自身がメンタルヘルスに対する正しい知識を身につけ、自分自身で対処できるようにすることが求められています。

そこで今回は、厚生労働省が示すメンタルヘルス対策の「4つのケア」※の中から、「セルフケア」に注目し、「セルフケアの重要性や対処法」をご紹介します。

(※「4つのケア」にはセルフケアの他、ラインケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア、があります。)

セルフケアとは

セルフケアとは、労働者が自分自身で行うメンタルヘルス対策です。メンタル不調の症状は、いきなり重症化するケースは少なく、ほとんどの場合は肉体疲労や、精神面の変化など軽い症状から出るため、メンタルヘルスに対する正しい知識がないと本人すら気づかないことがあります。そのため、企業が適切なメンタルヘルス教育を行い、社員が自分の心身に異変が起きたときに早期に察知し、対策をできるようにすることが必要です。例えば、休日に趣味に没頭するなどしてストレス解消に繋げることや、ストレスの発生源や対処法を学ぶこともセルフケアに含まれます。日常的にセルフケアを行うことで、自分のメンタルをコントロールすることが可能になります。

ストレス反応の症状

人は過度のストレスにさらされると、「ストレス反応」という危機的な反応を示すようになります。ストレス反応は「身体面」・「精神面」・「行動面」の3つに分けることができ、それぞれ下記のような様々な症状が現れます。

身体面

肩こり、頭痛、目の疲れ、腰痛、めまいや動悸、食欲不振・過食、便秘や下痢、睡眠の問題(寝起きの悪さ、寝付きが悪い)、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)、喘息などのアレルギー、月経前症候群

精神面

無気力感、不安や抑うつ(気分の落ち込み,興味・関心の低下)、集中力の低下、口数が減る、暗くなる、落ち着きがない、怒りっぽい、うつ病、統合失調症

行動面

遅刻や欠勤の増加、仕事でのミスの増加・作業能力の低下、対人関係の悪化、(人付き合いが悪くなる、攻撃的な言動の増加)、生活時間・睡眠時間の乱れ、飲酒量や喫煙量の増加、暴力的になる

(※2週間~1カ月以上、同じような状態が続く場合は要注意とされています)

ストレスへの対処法

ストレスというとネガティブなイメージがありますが、適度なストレスは意欲と成長を促すため、ストレスそのものが悪いわけではありません。多すぎるストレスは病気をもたらしますが、少なすぎるストレスは却ってやる気を失ってしまいます。しかし、同じような状況に対しても、人によって負担に感じるか、挑戦の機会と見なして成長や自信に結びつけるのか、捉え方は異なります。

ストレスに対処する行動を「ストレスコーピング」と呼び、「問題焦点型」「情動焦点型」「ストレス解消型」の3つに分けることができます。

・問題焦点型

問題焦点型とは、ストレスの原因(ストレッサー)に働きかけ根本的に取り除き、問題を解決しようとする対処法のことです。例えば、問題が起こったときに上司や同僚などの身近な人に相談することや、人間関係や環境を変化させてストレスの原因となる物事から遠ざかることなどが挙げられます。また「~をしてはいけない」「~をすべきだ」という自分の思い込みを捨て、考え方を修正することも、問題焦点型コーピングの一つです。

しかし、環境の改善を図るために周囲の人を巻き込んだことで人間関係の悪化を招くことや、原因解消のために無理に自分の考えを変えようとするあまり、疲れてしまうこともあるため注意が必要です。

情動焦点型

情動焦点型とは、ストレスの原因自体ではなく、ストレスが与えられたことによって生じた感情にアプローチして、辛いと感じる気持ちを変化・解消させる対処法のことで、ストレスをコントロールしようとすることです。例えば、自分の感情を誰かに話すことで、整理や発散することや、頭を悩ませている問題から遠ざかり、落ち着く時間をつくること、ストレスの原因に対する捉え方や考え方を修正し、自分自身の認知のゆがみを変えていくことなどが挙げられます。しかし、これらは根本的な解決にはならないため、ストレスと向き合っていかなければなりません。

ストレス解消型

ストレス解消型とは、ストレスを感じた後に、ストレスを身体の外へ追い出したり、発散させたりする対処法で、ストレス解消のために無意識に行っていることも多いといわれています。例えば、ショッピングに行ったり、美味しいものを食べたりなど自分が好きなことを行い、気分転換を図ることや、腹式呼吸やヨガなどリラクゼーションを目的とした行動を習慣にして、ストレス耐性を高めることが挙げられます。

 

今日からできるセルフケア

セルフケアには様々な種類がありますが、義務として行うとそれ自体がストレスになりかねませんので、自分の合った方法を選んで続けていくことがポイントです。今日から取り入れられるセルフケアの方法を3つご紹介します。

・十分な休息と睡眠

睡眠不足は、疲労感や情緒不安定などストレスが増す原因となります。眠る直前に、スマートフォンを使用する、アルコールやカフェインが入った飲み物を飲む、激しい運動をする、といった行動は質の良い睡眠がとれない原因につながります。腹式呼吸を行うなど、心身ともにリラックスした状態にすると、副交感神経が優位に働くため眠りやすくなります。

・自分の好きなことをする

自分の趣味に没頭することは、日々のストレスから目をそらし、楽しい気分になるため、良い気分転換になります。例として、運動、旅行、映画、カフェ巡り、ショッピング、カラオケなどが挙げられます。趣味やストレス発散法が多ければ、その分セルフケアの効果が期待できるため、1つでも多く見つけ、定期的に実行することが大切です。

・周囲に相談する

一人で抱え込まずに、会社の同僚、先輩・上司だけではなく、友人や家族など、相談できる人を見つけましょう。ただ誰かに悩みを話すだけで、自分の気持ちが整理できたり、ストレスを発散できます。社内の人に相談しにくい悩みの場合や、社内に相談できる制度がない場合には、外部の医師や各種カウンセリングサービスなど、専門家に相談しましょう。

まとめ

現代社会において、ストレスを避けることは困難であるため、ストレスを感じてしまうことを前提として知識や対処法を身につけセルフケアを行う必要があります。ストレスへの有効な対処法は人それぞれ異なるため、様々な方法を試して、自分に合った楽しみながら続けられるセルフケアを見つけることが重要です。

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