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「知らなかった」では済まされない!身近に潜むコンプライアンス違反の事例と防止対策とは

2021.01.28 コラム

企業内の不正や、社員の不祥事が多発する現代社会において、コンプライアンス対策を行うことは、企業にとって当たり前のことになっています。しかしその一方で、重大なコンプライアンス違反により社会的信用を失い、経営不振や倒産に追い込まれる企業は後を絶ちません。

そこで今回は、「コンプライアンス違反の原因や実際に起きた事例と防止対策」をご紹介いたします。

コンプライアンスとは

コンプライアンス(compliance)とは「法令遵守」を意味する言葉で、企業がルールに従い、公正・公平に業務を遂行することを指します。しかし、企業の社会的信用を守るためには、法令を侵さなければ、何をしても良いということではありません。「法令」に加えて、企業が独自に定める「就業規則や社内規程」から、倫理・モラル的に「社会通念上守るべきルール」まで、あらゆる内容を遵守することが求められます。

コンプライアンスの重要性

2019年度に「粉飾」「業法違反」「脱税」などのコンプライアンス違反が原因で倒産した企業は225件となり、前年度比マイナス8件(3.4%減)となったものの、8年連続で200件を超えたことが明らかになっています。さらに要因別に分析すると、最も多かった要因は「粉飾」で 78件(構成比 34.7%)となっています。

(帝国データバンク2020年4月7日発表「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2019年度)」より)

このように、企業がコンプライアンスを無視して違法行為を行うと、社会的信用の失墜や売り上げの減少だけでなく、倒産に追い込まれるケースも少なくありません。したがって、不祥事を未然に防ぎ、企業価値を向上させるため、企業にとってコンプライアンスの遵守は欠かせません。

コンプライアンス違反はなぜ起きるのか

2000年頃から大企業の不祥事や不正行為が立て続けに発生したことで、企業におけるコンプライアンス体制の整備が社会的に求められるようになりました。

それにもかかわらず、なぜコンプライアンス違反が起きてしまうのでしょうか。コンプライアンス違反が起こる原因を整理してみましょう。

・不正のトライアングル

「不正のトライアングル」とは、不正を行なうための「動機」が存在し、不正を行なう「機会」があり、そして不正を行なう理由が「正当化」できると、人は不正行為をしてしまうというものです。例えば横領の場合、「個人的な理由で経済的に苦しくなった(=動機)人が、経理部門で専門性の高い業務を1人で行っており、上司がチェックをしない(=機会)ため、一時的に借りるだけなら問題ないと思った(=正当化)」ことで、会社のお金を無断で自分のものにしてしまうということです。このように3つの条件が揃った場合に、不正行為に繋がりやすいとされています。不正のトライアングルに合致するような事情があれば、要素を1つでも削り、トライアングルを成立させないことが重要です。

法律に関する知識がない

法律においても、企業のコンプライアンス体制の整備を求める内容が多くなり、会社法や独占禁止法、公益通報者保護法などが挙げられます。しかしその一方で、「知らなかった」「つい、うっかり」が原因の違反が絶えません。経営者や役員が企業経営に関する法律について熟知しておく必要があるのはもちろんのこと、従業員に対してコンプライアンス教育を行い、ある程度の知識を身につけていなくてはなりません。

コンプライアンスの違反事例

コンプライアンス違反をするとどうなるか、実際に起きた事例をご紹介します。

①教育サービスA社の顧客情報漏洩

2014年6月頃、A社の顧客に対して、心当たりのない他社からのダイレクトメールが届くようになりました。そこで社内調査をすると、最大約2000万人という大規模な顧客情報漏洩が発覚したのです。

A社は事件性が高いと判断し、警察および経済産業省に事件を報告し、捜査の結果2015年7月にグループ企業勤務のエンジニアが逮捕されました。しかし、犯人は逮捕されたものの、情報漏洩により企業の信頼は低下し、顧客離れが進んだのです。

②振り袖の販売・レンタル業B社の粉飾決算

2018年1月8日、振り袖の販売・レンタル業を行うB社が突然店舗を閉店し、晴れ着を着られない新成人が続出する騒動となりました。その背景には、同社による粉飾決算がありました。

2017年9月に売上高を水増し計上した決算書類を提出し、銀行から3,500万円を騙し取ったとされています。さらにその後も悪化する経営状態を隠したまま融資を受け、債務超過が膨らみ、騒動後の2018年1月26日には破産手続きを開始。同社社長は融資金搾取容疑で逮捕され、同年12月に懲役2年6月の実刑判決を受けました。

③自動車メーカーC社の残業代未払い

2015年から2017年にかけて、社員3421人に対して合計7億7千万円の残業代を払っていなかった、大規模な残業代未払い問題は、その後の隠蔽や発覚の原因が過労自殺であった点も重なり、厳しい社会的批判を受けました。C社は2016年に過労自殺した男性に関する内部調査によって、残業時間の過少申告が常態化しているサービス残業の実態が判明したにもかかわらず、その後1年間に渡ってこの問題を隠蔽していました。

また自殺した男性社員は、長時間労働だけでなく、上司からのパワハラを受けていたことも判明し、重大なコンプライアンス違反を隠蔽しようとした不誠実な企業姿勢が社会的責任を果たしていないとして、問題視されました。

身近なコンプライアンス違反

気づかないうちにコンプライアンス違反をしていて、大事件に発展する場合もあります。「知らなかった」では済まされない、注意すべき違反事例を5つご紹介します。

不正利用

会社から支給されている文房具や備品、景品などは会社の所有物ですので、私用に使うべきではありません。持ち帰って私的に利用することは、倫理規範に反するばかりでなく、窃盗の疑いをかけられることもあります。

・会社のパソコンで私的なSNSの利用

会社のパソコンで、業務に関係のないネットサーフィンや私的なSNSを利用するのはリスクを伴う行為です。閲覧サイトからウイルスに感染し、情報流出が起きた場合には、重大な損害に繋がる可能性があります。

・情報漏洩

会社の経営状況や顧客・従業員の個人情報など業務上知り得た情報は、家族や友人であっても漏らしてはいけません。他人に気軽に会社の秘密を話したことがきっかけで会社に損害が出れば、重大な責任を問われる可能性もあります。また、社員同士であってもエレベーターや電車など、不特定多数の人が集まる公共の場では注意が必要です。

・上司に黙ってサービス残業

本来、残業は上司からの指示のもとに行われるものであり、部下が自己判断で勝手に残業を行うことを認めていない企業が大半です。企業は残業に対して賃金を支払う義務があるため、自主的な残業であっても承認を得る必要があると考えましょう。また長時間労働により、健康を損ない労災が発生するリスクも高まる危険性もあります。

家で仕事をしようとデータを持ち出す

社外秘となっているデータや機密情報などを社外に持ち出すことにも注意が必要です。USBなどに保存して持ち出すことや、自宅のパソコンにメールを転送することも情報漏洩に繋がります。テレワークの導入により在宅勤務をしている場合には、常に自宅に機密漏洩がある状態になるため、より一層の注意が必要です。

コンプライアンス違反の防止対策

ここまでコンプライアンス違反の事例をご紹介してきましたが、コンプライアンス違反を未然に防ぐためには、どのような対策を取るべきでしょうか。コンプライアンス違反の防止対策を3つ紹介します。

・社内方針の策定

社員にコンプライアンスを徹底させるためには、行動や考え方を具体的に示し、日々の業務に反映できる仕組みを作る必要があります。企業理念として、会社の果たす役割や存在意義を社内外に宣言するだけでなく、具体的な行動指針の策定や、就業規則やセクハラ・パワハラ防止規程などの各規程の整備が求められます。しかし、どんなに立派な理念や指針・規程であっても社員に周知が出来ていなければ意味がありません。職場内での掲示や、社内の共有ネットワークに保存するなど、いつでも見られる環境を作ることで周知徹底しましょう。

・社内体制の構築

社内にコンプライアンス意識を根づかせ、問題が起きた場合に迅速な対応を取るための体制の構築が求められます。担当部門を設置して、コンプライアンス社内規程の作成、コンプライアンス教育の計画と実施、従業員からの相談・報告窓口になるなど、コンプライアンス関連の業務を一括して行いましょう。社内の力だけでは対応が難しい場合には、弁護士や社労士など専門家を活用すると効果的です。

・社内教育の実施

社員のコンプライアンス意識を高めるために、コンプライアンス教育の実施は非常に有効です。その際、効果を高めるためには、実際にあった事例の中から、自社でも起こり得る内容を共有することで、それにより当事者意識が生まれます。また、全社員に行うべきコンプライアンス教育ですが、役職や実務経験によって求められる役割が異なるため、階層別に内容を変えて実施することで、より高い効果が期待できます。

まとめ

身近なコンプライアンス違反の起きる要因として、「知らなかった」「つい、うっかり」という理由が挙げられます。社員一人ひとりの「知らない」「わからない」が原因で、小さなコンプライアンス違反が積み重なり、重大なコンプライアンス違反を引き起こさないためにも、今一度、社内規定の周知やコンプライアンス教育が十分にできているか、見直してみてはいかがでしょうか。

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