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コンプライアンス教育の目的と3つのポイント

2020.11.27 コラム

企業内の不正や、社員の不祥事が多発する現代社会において、企業におけるコンプライアンス教育の重要性が増しています。コンプライアンス意識に欠けた振る舞いは、すぐさま世間に広まり、企業のイメージに大きなダメージを及ぼし、社会的信用を失うだけでなく、最悪の場合には倒産に至る可能性もあります。そのため、コンプライアンス教育は、経営者層だけでなく、全社員に行い、一人ひとりが正しい知識を持たなければなりません。

そこで今回は、「コンプライアンス教育の目的と3つのポイント」についてご紹介いたします。

コンプライアンスとは

コンプライアンス(compliance)とは「法令遵守」を意味する言葉で、企業がルールに従い、公正・公平に業務を遂行することを指します。しかし、企業の社会的信用を守るためには、法令を侵さなければ、何をしても良いということではありません。「法令」に加えて、企業が独自に定める「就業規則や社内規程」から、倫理・モラル的に「社会通念上守るべきルール」まで、あらゆる内容を遵守しなくてはなりません。

また、コンプライアンス教育が重要視されるようになった背景には、次のようなものが挙げられます。

  • デジタル化が進んだことで、情報漏洩のリスクが高まっている。
  • SNSの普及によって、問題行動や不正が拡散されるリスクが生まれた。
  • 不祥事に対する世間の目が厳しくなったため、違反した際に株価下落や売上減少など甚大な被害を受けるリスクが高まった。

コンプライアンス教育の3つの目的

コンプライアンス教育の目的は、コンプライアンスの重要性を認識させることだけではありません。コンプライアンス教育の主な目的を3つご紹介します。

・コンプライアンス違反のリスクを理解させる

コンプライアンスの重要性を社員の意識に根づかせるためには、違反によって企業や当事者が受ける影響の大きさを理解させることが有効です。違反によるリスクとして、社会的信用を失う、社会的制裁を受ける、事業衰退や倒産などがありますが、一度犯してしまうと、信頼を回復し、再び経営を軌道に乗せるまでには長い年月が掛かります。過去の事例からこうしたリスクを知ることで、より自分事に感じられるようになるでしょう。

・社会人としての基本的なルールを身に着けさせる

コンプライアンス研修は、新入社員に対しても多く実施されるテーマの一つです。社会人として必要な知識や経験が身についていない新入社員にコンプライアンス教育を行うことで、社会人としての基本的なルールを身に着けさせ、企業にふさわしい振舞いや行動ができるようにします。また法令や企業規則だけでなく、社会人として良識のあるSNSの取り扱い方法や、社内の顧客情報・機密情報の取り扱い方法の指導なども含まれます。

・コンプライアンス違反によるリスクマネジメント

どんなに教育を徹底したとしても、残念ながら、コンプライアンス違反が起こる可能性はゼロではありません。そのため、コンプライアンス違反が起きた場合に備えて、問題が発生した際の対応についての教育も必要です。実際にコンプライアンス違反が起きたときを想定した演習を行い、社員への自覚を促しリスクマネジメントを行いましょう。

コンプライアンス教育の実施内容

全社員に行うべきコンプライアンス教育ですが、役職に応じて求められる役割が異なるため、階層別に内容を分けて実施することで、より高い効果が期待できます。

・一般社員への教育

コンプライアンスの基本的な内容に加えて 個人がコンプライアンス違反を起こさないための教育が重要になります。例えば、SNSの取扱いや周囲の人に不快な思いをさせないための社会倫理などが当てはまります。自分がいつコンプライアンス違反の当事者になってしまうかわからない、というリスクを感じられる問題や事例をテーマに教育を行うことで、当事者意識を持たせることが目的です。特に新入社員には、コンプライアンスの基本的な内容について、事例を挙げながら分かりやすく伝えることで、理解を促すことが大切です。

・管理職への教育

コンプライアンスの基本的な内容を理解させることはもちろんですが、部下を持つ立場になるため、部下に対して模範となる行動を示し、万が一社内でコンプライアンス違反が起きた場合に対処をするための、正しい知識を身に着ける必要があります。また、役職に就くことで裁量が増えるため、取引先の金銭など様々な不正に関与するリスクがあります。こうした管理職に起こりがちな不正を防止するためには、関連する法令についての知識が必要になります。

・経営層のへの教育

企業経営に深く係わる経営者としての責任と役割について改めて認識し、コンプライアンス違反が経営に与える影響を理解する必要があります。さらに内部統制の一環として、コンプライアンスへの基本方針・ルールの策定、体制の構築と運用を行うための知識を身に着けると良いでしょう。また、インサイダー取引など自身が不正行為に関わる危険性についても、事例などから学んでおくことが大切です。

コンプライアンス教育の効果を高める3つのポイント

社内にコンプライアンス意識を浸透させるためには、3つのポイントがあります。

・全社員に当事者意識を持たせる

コンプライアンスは社員一人ひとりが守る必要があるため、それぞれに当事者意識を持たせることが必要です。そのため、ただ法令やルールを学ぶだけでなく、実際に現場で抱えている課題や、コンプライアンス違反の事例をケーススタディとして取り上げることで、自分事として捉えやすくなるでしょう。

教育のゴールを明確にする

コンプライアンス教育にかかわらず、教育を行う際には目的とゴールを明確にすることが大切です。自社のコンプライアンスに対する現状を説明した上で、教育後の取るべき態度や身につけるべき知識について伝えましょう。これにより、受講者が教育に対して意欲的に取り組むきっかけになります。

・コンプライアンス違反になる背景をしっかりと説明する

コンプライアンス教育では、ルール化された背景の説明が疎かになることがあります。「なぜSNSでの個人・企業情報が含まれた投稿に、注意が必要なのか」など、社員一人ひとりに理由も含めて理解させる必要があります。そのため、コンプライアンス教育を行う際には、ルールの説明に加えて、その背景をしっかりと説明する必要があります。

まとめ

昨今、コンプライアンスとして企業に求められることは、法令だけでなく、モラルや倫理観など多岐にわたります。ひと昔前には許されていたことが、今では許されないことになっている場合も少なくありません。 たった一人の社員でも、コンプイアンスに違反し、そのことが公になれば会社の経営を揺るがす事態に発展することもあるため、社員全員にコンプライアンス教育を行い、理解させる必要があります。会社にかかわる一人ひとりの意識や行動が、自社の社会的信頼を支えているということを念頭に、継続的な教育を行うことをおすすめします。

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コンプライアンスや労働基準法への意識欠如で、気づかぬうちに働かせ過ぎていた!?~大島農機株式会社~

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