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コンプライアンス対策における管理職の役割とは

2020.12.04 コラム

コンプライアンスへの対策を行うことは、今や企業にとって当たり前のことになっています。そのため、多くの企業で社内教育やガイドラインの作成が行われていることでしょう。しかしその一方で、不祥事を起こして社会的信用を失い、経営不振や倒産に追い込まれる企業は後を絶ちません。コンプライアンス違反を防ぐためには、単に社内の仕組みを作るだけでなく、社員一人ひとりのコンプライアンスへの理解を深め、定着させることが重要です。

また、コンプライアンスと一口に言っても、職種や階層によって、求められる行動・知識が異なるため、対象者によって内容を変えることで、より高い効果が期待できます。

そこで今回は、「コンプライアンス対策における管理職の役割」についてご紹介いたします。

コンプライアンスとは

コンプライアンス(compliance)とは「法令遵守」を意味する言葉です。しかし、企業の社会的信用を守るためには、法令を侵さなければ、何をしても良いということではありません。「法令」に加えて、企業が独自に定める「就業規則や社内規程」から、倫理・モラル的に「社会通念上守るべきルール」まで、あらゆる内容を遵守することが求められるのです。

そのため、粉飾決算・入札談合・虚偽広告など「法令」そのものに違反する行為だけでなく、パワハラ・セクハラ長時間労働SNSの不適切な利用・社内備品のプライベートでの使用など、これら全ての行為がコンプライアンス違反として扱われます。近年、コンプライアンスに対する社会の関心が高まっていることから、一度違反が起こるとすぐさま拡散され、社会から厳しい目を向けられることでしょう。

管理職向けコンプライアンス教育の目的

新入社員や一般社員に対してのコンプライアンス教育では、社会人としての基本的なルールを身に着けさせることや、コンプライアンス違反のリスクを理解させることが目的です。一方で管理職は、このような基本的な内容を理解することはもちろんのこと、部下を持つ立場として、模範となる行動を示し、職場のリスク管理を行い、万が一社内でコンプライアンス違反が起きた場合に対処をするための、正しい知識を身に着ける必要があります。

また、役職に就くことで裁量が増えるため、取引先の金銭など様々な不正に関与するリスクがあります。こうした管理職に起こりがちな不正を防止するためには、関連する法令についての知識も求められます。さらに管理職は、コンプライアンスを社内に浸透させる中心人物となります。そのため、社内の対策方針を定め、有効なリスクマネジメントができるようにならなくてはなりません。これらの役割を認識するためにも、コンプライアンス教育は欠かせません。

管理職に求められる役割

部下を持つ管理職として、コンプライアンス違反を起こさせないために、どのような役割を求められているのでしょうか。ここでは4つの役割をご紹介します。

論理的思考力の習得

自らの経験や知識に加えて、コンプライアンスや法律についての論理的な思考を身につけることによって、潜在的なリスクやそれが企業に及ぼす影響を洞察するリスクマネジメントの役割が期待されます。社内慣行や業界ルールに縛られずに、広い視野で会社内外を見渡すことが必要です。

さらに、社長や役員が誤った判断をしようとしている際には、勇気を持って談判し、ためらうことなく説得することが求められます。経営者・他部門・部下・他社などそれぞれの関係の中で、これらの視点を持って行動し、コンプライアンス経営を企業風土として根付かせなければなりません。

・ガイドラインの作成

社員のチェック機能や、社内の備品や機器の管理・使用方法についても、明確なガイドラインを作りましょう。例えば、お金を扱う社員に不正を働かせないためのチェックや、情報漏洩を起こさないためのパソコンや周辺機器の使用方法、SNSの使用方法などです。

また、万が一コンプライアンス違反が起きてしまった場合の対応についても、違反者と思われる社員への聞き取りや、関係者を含めた調査の進め方、警察への通報やマスコミへの対応など、想定される行動のガイドラインを予め作成しておきましょう。

・部下の手本となる行動を取る

役職に就くと、周囲にばかり目がいき、自分の言動が疎かになってしまうこともあります。そして、その軽率な言動を見た部下が、「上司がやっているなら、あの程度のことなら許されるだろう」と勝手に解釈してしまう危険性があります。

例えば、社内でコンプライアンス違反が発生した際に、部下に向かって「コンプライアンスを守れ!」と怒鳴ったとします。しかし、それはパワハラというれっきとしたコンプライアンス違反になるのです。部下のコンプライアンス違反を正すためといって、自分自身が違反をしていたら、社員たちに危機意識が芽生えるはずがありません。指導をする立場として、まず自分自身がコンプライアンスを遵守しましょう。

・職場のコミュニケーションを円滑にする

どれほど立派な規則や仕組みが備わっていても、職場のコミュニケーションに問題があると意味がありません。特に、部下が安心して NO を言える雰囲気や、自分の意見を素直に伝えられる環境でないと、重大なコンプライアンス違反に繋がる恐れがあります。

例えば、

  1. 管理職と部下の日頃のコミュニケーションが良好でないため、問題点や課題の解消に努め、注意し合う雰囲気がなく、内部規則違反が横行している。
  2. 上司の指示に背いたことで、それが致命的な問題に発展し、会社の経営に打撃を与えた。

などの事例が挙げられます。

このように職場のコミュニケーションは、会社のコンプライアンス対策の上で、重要かつ不可欠な要素なのです。

まとめ

コンプライアンス対策新入社員や管理職、経営者など、役職によって求められる行動が異なります。それぞれの階層で必要とする知識や役割を明確にして、それに応じた教育を行うようにしましょう。

また、上司である管理職自身がコンプライアンス違反に関わったり、指示を出すのは論外ですが、コンプライアンスに対する意識が薄いようでは、健全なコンプライアンス体制は構築できません。まずは、部下の手本となるよう、管理職者からコンプライアンスへの正しい知識を身に着け、社内が誤った方向に向かないよう行動していくことが求められます。

導入事例

コンプライアンスや労働基準法への意識欠如で、気づかぬうちに働かせ過ぎていた!?~大島農機株式会社~

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