閉じる

News Columnニュース・コラム

リーダーに求められる行動とは?
―企業に求められる次世代リーダーの育成―

2023.04.21

目次

はじめに

リーダーシップは経営者や管理職など組織のリーダーが持つべきものです。規模の大小あれど、リーダーとしてメンバーを牽引する立場となれば適切なリーダーシップを発揮することが求められます。

そこで今回は、「リーダーシップの定義をはじめ、リーダーシップを発揮するために必要なスキル」について、わかりやすく解説いたします。

リーダーシップとは

リーダーシップとは「統率力」を意味し、目標達成するために周囲を巻き込み、引っ張る力のことを表します。

リーダーが、組織を一体化させて統率する「役割」であることに対して、リーダーシップは「スキル」であるため、役割にかかわらず組織で働くすべての人に求められ、また誰もが身につけることができます。

ドラッカーが定義するリーダーシップの3要素

経営学の権威であるピーター・ドラッカーは「リーダーは持って生まれた性格や能力によって力を発揮するのではなく、努力や教育によってその役目を果たせるようになる」としています。

ドラッカーが定義したリーダーシップの3つの要素は下記の通りです。

 

①リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「仕事」である

②リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である

③リーダーシップはメンバーに「信頼」されていることである

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップと似た表現にマネジメントがあります。どちらも組織をまとめて成果を上げさせることが目的である点は同じですが、マネジメントはさらに具体的な目標や数値に落とし込んで運用する管理的な要素が求められます。つまり、マネジメントは現場の中でより実務的な役割を担い、決められた目標に対して、メンバーが正しく履行しているかを確かめる役割が求められます。

リーダーに求められる8つの行動

リーダーシップを発揮するためにジョン・エリック・アデアが提唱した”リーダーが遂行すべき8つの行動”について解説していきます。

①明確にする

組織として「何をするのか?なぜ、それをするのか?」を明確にして、リーダー自らが組織のビジョンを提示することです。また、メンバーに対して、仕事の目標をSMART(具体的=Specific、測定可能=Measurable、合意がとれている=Agreed-upon、現実的=Realistic、期限付き=Time-bound)に示すことも必要です。

②計画する

「どのようにミッションを進めていくのか」リーダー自らが組織の現実的なプランを立て、明確に提示することです。仕事を計画するときは、不測の事態に備えた代替案を用意することも大切です。スムーズにミッションを進めるためには、日頃の関係づくりや建設的な意見を出し合える環境づくりも重要です。

③要約・説明する

「目的や計画の要点を説明すること」で、仕事の目的・計画をメンバーが理解できるように伝える必要があります。仕事の目的や計画を事前に説明することで、チームで共通意識を持たせ、各メンバーの役割を明確にする必要があります。

④統制する

「組織が目指すゴールに向けて、メンバーが持つエネルギーを集約すること」で、メンバーの自立を促すことが目的です。目標達成のために、メンバーが同じ方向を向けるように働きかけることが求められます。

⑤評価する

「成長、発展に向けて目標に対する結果の振り返り」を行うことで、組織の価値観に基づいた評価を与えることです。チームの業績や個人を正しく評価、査定することが重要です。

⑥動機付けする

「内在する欲求に応えること」です。成功に対する奨励や報酬による外在的動機付けと、メンバー自ら発揮する内在的動機付けがありますが、リーダーシップでは内在的動機付けが重要です。メンバーの行動に対して感謝を伝えることで内在的な動機付けにつながります。

⑦支援する

「物事が円滑に進むように支援すること」で、メンバーが持つ力を最大限発揮できる方法を考え、その環境づくりに努めることです。メンバーの状況を考えた組織づくりを行うことで、信頼関係の構築につながります。

⑧模範を示す

「リーダー自身が模範となる行動をすること」で、有言実行・言行一致を示すことが求められます。常にメンバーの目指すべき姿となり、自らが先頭に立って模範を示すことが大切です。

リーダーシップのスタイル

リーダーシップにはさまざまなタイプがありますが、主に以下の4タイプに分類されます。

支配型リーダー

かつての日本において主流だったスタイルで、組織を強い統率力で牽引するタイプです。リーダーの強い意思や信念に基づき、自身のアイデアを形にしたり、目標達成のためにメンバーに指示を出して従わせたりします。組織が未成熟な時期や早期に結果が求められる場合に成果を出しやすいです。

 

民主型リーダー

支配型リーダーがトップダウンで物事を進めていくのに対し、民主型リーダーは意思決定の際には助言しますが、最終的な決定はメンバーの意向を尊重します。メンバー自身で考え行動する必要があるため、瞬発的成果を出すには不向きですが、人材育成の面で長期的に効果を発揮します。

 

奉仕型リーダー

従来のスタイルとは異なり、メンバーの意欲を上げるためにポジティブな言葉をかけたり、動きやすいように環境を整えたりするなど、直接的に指示を出さずに奉仕するタイプです。メンバーと信頼関係を築きながら自主性や、やる気を引き出し組織に一体感をもたらすスタイルです。

 

ビジョン型リーダー

メンバーにあるべき姿をビジョンとして提示します。達成への道筋や役割分担は大まかに示しますが、実際の行動は各々の自主性に任せます。単に放任するのではなく要所で確認し、良い行動は適切に評価し、そうでなければ軌道修正するなど、明確な指針の下に目指すビジョンの実現に向けてメンバーを導きます。

昨今求められるリーダーシップは「ビジョン型」と「奉仕型」のハイブリッドタイプだといわれています。企業として明確に目指すべきビジョンを示したうえで、メンバーそれぞれが能力を最大限発揮できるように支援するスタイルです。

 

組織で求められるリーダーシップ像

社会の成熟や経済成長に伴い、求められるリーダーシップ像は変化してきました。それぞれの時代において成果を上げやすいスタイルがあり、その資質を持つ人物がリーダーとして力を発揮してきた歴史があります。

変化に応じて求められるリーダーシップ

変化の多い時代においてリーダーに求められる役割は、ビジョンを示し、メンバーがそれを達成できるように環境を整えることです。

洞察力

組織を持続的に成長させていくためには「目指すべきビジョン」を明確に描く洞察力が必要です。ビジョンを明確にすることで、メンバーに目指すべき方向を伝え、実現に向けた行動を促します。

 

決断力

リーダーは過去の経験からの学びや信念、目指すべきビジョンに基づき、確固たる判断軸を持つことが求められます。環境の変化が多いほど、決断を迫られる機会が多いといえます。

 

モチベーションを管理する力

メンバーのモチベーションが低いと全体の生産性が下がるため、一人ひとりのメンバーと向き合い、モチベーションに気を配る必要があります。

 

サポート力

メンバーが掲げる目標を達成できるよう、手助けを行います。それぞれの個性と得意分野を活かす環境を準備するなど、サポートを行います。

危機的状況で求められるリーダーシップ

現代社会において自然災害や紛争による世界情勢の急変、不祥事やSNSの炎上など、経営を揺るがすような危機に遭遇する可能性がないとは言い切れません。危機に直面した際には、平時とは異なるリーダーシップが求められます。

 

・優先順位を判断し、臨機応変に対応する力

非常時はさまざまな問題が同時多発的に勃発し、状況も刻々と変化していくことから、正しい判断が難しくなります。そのため、まずリーダーに求められるのは優先順位をつける力です。
また、非常時には組織や社会的ルールに反した行動が必要になる場合もあります。ルールやモラルに囚われることなく、優先されるべきは人命や心身の安全であることを意識して、対応する力が必要です。

 

・批判を恐れない勇気

危機に際し、あとで批判される可能性があっても、時には冷徹な判断を下さねばならない場面に直面することもあるでしょう。緊急時に優先すべき事柄に力を注ぐことは、その他を後回しにすることでもあります。非常事態においてすべてに平等に対処することは難しいですが、自身の判断に対する批判を恐れない強さが必要です。

リーダーシップを高めるために必要なこと

前述したように、その時々の状況に応じて求められるリーダーシップはさまざまですが、次世代のリーダーには、変化に対応する柔軟さや、危機に直面した際に発揮する強さ、時として示すべき冷徹さなど相反する要素をバランス良く持ち合わせることが求められます。リーダーシップを高める4つの要素について説明しますが、それらを高めるためには研修を通じて習得することが有効です。

 

①意思決定のスキルを磨く

チームはリーダーの意思決定に基づいて動きます。ビジネスチャンスを逃さないためにはスピード感を持った意思決定が求められます。ただし、勘や経験に頼った意思決定は、チームを誤った方向に導く恐れもあります。そのため、情報収集力やチームにとって最適な方法を見極める力が必要です。

 

②チームビルディングに取り組む

チームビルディングはチームとして成果を出すために有効な手法です。チームビルディングの目的は、チームとしての方向性を明示し、目標に向かって全員が動ける状態をつくることです。チームビルディングでは、トップダウンでチームを動かすのではなく、メンバーの気持ちをひとつにして目標を達成するというリーダーの方針が重要になります。定期的なミーティングやコミュニケーションをとることで理想とするチームづくりにつながります。

 

③コミュニケーション力を高める

チームの状況を正確に把握し、各々のメンバーの力を最大限に引き出すためには、コミュニケーション力が欠かせません。相手の話に耳を傾け、意思疎通を図ることでメンバーが力を発揮しやすくなり、チームとしての成果も最大化されます。さまざまな人の意見に耳を傾けることで、リーダーとして必要な行動が具体的に見えてくるでしょう。

 

④長期的な視点で実践力を鍛える

次世代リーダーの育成には、実践力が必要です。時間はかかりますが、インプットにより知識を増やすだけではなく、その知識を実際の業務で実践する機会を多く与える必要があります。常に成長できる環境を準備することが育成への近道ですが、何事にも挑戦する力を鍛えることで、リーダーとして必要な素養が身につきます。

まとめ

変化の多い現代では、リーダーが常に同じスタイルのリーダーシップを発揮していればチームが成り立つとは限りません。リーダー自身が、リーダーシップのスタイルを理解し、時局にあわせて柔軟に切り替えられるスキルを備えておく必要があります。次世代リーダーを育成する際には、複数のスタイルにおけるスキルを鍛えることがおすすめです。「リーダーシップ研修」をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。

関連する研修

関連する投稿

メールでのお問い合わせ
03-6837-5302 平日9:00~18:00