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企業が取り組むべきラインケアとは?実施のポイントをご紹介-社員教育のCAM

2023.06.29 コラム

目次

はじめに

ラインケアとは、職場におけるメンタルヘルスケアのひとつで、管理監督者が部下の異変を察知し、面談・個別指導・職場環境の改善を通して、ストレスの軽減などに適切に対応することをいいます。心身の不調は、本人も気づかぬうちに進行している場合もあり、ラインケアは非常に重要です。

そこで今回は、「企業が取り組むべきラインケアのメリットと実施のポイント」について、わかりやすく解説いたします。

ラインケアとは

ラインケアとは、管理監督者が部下の異変にいち早く気づき、相談や支援を行うことです。ラインケアの「ライン」とは、組織内において管理監督者から一般社員に続くライン上の組織形態が語源と言われています。適切なラインケアにより、企業のメンタルヘルス状況は改善・強化できます。

なお、ラインケアは、厚生労働省が定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に記載されている「4つのケア」のひとつです。

厚生労働省が推奨している4つのケア

厚生労働省が推奨している4つのケアには、以下の項目が含まれています。

  • セルフケア
  • ラインによるケア
  • 事業場内産業保健スタッフなどによるケア
  • 事業場外資源によるケア

セルフケア

セルフケアとは社員自らが行うメンタルヘルス対策で、自分自身が抱えているストレスに気づき、予防や適切な対策を講じることです。自分のストレスに気づくためには、企業全体で研修や情報提供などを行い、一人ひとりの心身の健康維持、推進を支援することが大切です。

セルフケアに関する詳細は、こちらの記事をご確認ください。

ラインによるケア

ラインによるケアとは、管理監督者が部下に対して行うメンタルヘルス対策です。

具体的な取り組みとしては、次の3つが挙げられます。

  • 部下からの相談対応
  • 職場環境などの把握と改善
  • 職場復帰への支援

ラインケアでは、管理監督者が部下のいつもと違う様子にいち早く気づくことが大切です。部下の異変に気づくためには、管理監督者は日頃から部下を気にかける必要があるほか、相談しやすい雰囲気や環境作りを心がけましょう。

事業場内産業保健スタッフなどによるケア

厚生労働省は、産業医や産業保健師などの事業場内産業保健スタッフが行うメンタルヘルス対策も推奨しています。産業医や産業保健師とは、専門的な立場で従業員の健康管理を行う医師および看護師のことです。社員や管理監督者への支援を行い、セルフケアやラインケアが効率よく実施されるようにサポートします。

事業場外資源によるケア

事業外資源によるケアとは、事業場以外の専門家や専門機関が行うメンタルヘルス対策のことです。具体的な取り組みとしては、次の3つが挙げられます。

  • 情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
  • 職場復帰における支援
  • ネットワークの形成

事業場外資源とは、医療機関や地域保健機関などの事業場の外の機関を指します。職場内で対応が難しい場合や、早急に対応が必要な場合には、事業場外資源によるケアも検討しましょう。

ラインケアの推進で得られるメリット

ここでは、ラインケアの推進により得られる職場のメリットについて説明します。

生産性の維持と向上

ラインケアは健やかな組織運営と直結しているため、良好に保たれていれば生産性の向上が見込めます。ストレスや悩みを抱え、ネガティブなメンタル状態が続くと、本人だけでなく周囲のメンバーや組織全体の生産性にも悪影響が及びます。ラインケアによって管理監督者が部下の不調に気づき、適切に対応することができれば、影響は最小限に抑えられるでしょう。

離職率の改善

ラインケアに取り組むことで、健康上の理由による欠勤や離職を減少させる効果が見込めます。社員の離職は既存社員の業務負担を増やし、さらなる離職を招く恐れもあります。

離職率の高さは企業評価の低下にもつながりかねません。ラインケアの実施は、こうした悪循環の原因を根本から断ち切ることができます。

メンタルヘルス不調者の増加防止

仕事のストレスが原因でうつ病などの精神障害を発症し、労災と認定された件数は年々増加しています。それに伴い、心の健康問題が社員やその家族、企業に与える影響はますます大きくなっている傾向です。

ラインケアの実施は不調者の増加防止・予防を実現します。ラインケアが機能すれば管理監督者を通じて適切な対処ができるため、社員のメンタルヘルス課題の解消が期待できるでしょう。

職場の活性化

ラインケアが定着するとコミュニケーションが増え、活気ある職場になるでしょう。職場が活性化されていない状態では、指示が的確に伝わらない、良い意見やアイデアが出ない、無駄な業務が増え続ける、といった悪循環が想定されます。ラインケアを実施し職場の活性化が進むことで、社員一人ひとりのコンディションが保たれ、主体的な行動や相互に助け合う状態を作り出すことができるでしょう。社員が前向きな気持ちで働くことができれば、エンゲージメント向上にもつながります。

企業が取り組むべきラインケアのポイント

企業として取り組むべきラインケアについては、『2-1厚生労働省が推奨している4つのケア』でご説明しましたが、最後に注意点についてまとめます。

*自己流の対応をしない

「メンタル不調者を自分の部署から出したくない」その思いは誰もが同じです。しかし、その強い思いから自己流の対応をして逆効果となる場合が多く見られます。ここでは、管理監督者の心得として3つのNG例を挙げます。

比較や押し付けの言動に注意

「自分が20代の頃は」「営業たるもの」など自身の経験や価値観と比較したり、押し付けたりする言動はNGです。同様に「最近の若い子は」「うちの会社は」などの大きな主語を使い、他者をひとくくりに捉えた言動にも注意が必要です。これらは部下の反発を買い、共感されることなく次第に信頼を失っていきます。信頼を失えば、悩みを相談されないどころか円滑な業務の遂行にも影響を及ぼしかねないため、細心の注意を払いましょう。

適当な取り繕いに注意

うわべを取り繕っただけの言動は誰にでも伝わるものです。「適当に話を合わせただけ」「ちゃんと見てくれていない」「話を聞いているふりで頷いているだけ」という感情が募ると、部下の信頼を失い、モチベーション低下にもつながります。全ての事象の本質として精神誠意向き合うことが大切です。

「つい、うっかり」のやる気を削ぐ言動に注意

「あなたには、この仕事向いてないんじゃないか?」「もっと真面目に頑張ってよ!」など、うっかり出てしまう言葉には要注意です。ささいな一言でモチベーションの低下や反感を買う場合があります。気にかかる一言を言われた本人は、長期にわたって忘れられず、最悪の場合、トラウマに発展するようなこともあります。そのような「つい、うっかり」の言動で部下を追い込んでしまう恐れがあることを念頭に置いて接しましょう。

*個人情報、人権に配慮する

相談を受けた場合には、個人情報や人権への配慮が大切です。管理監督者は、部下の健康情報や個人情報の保護、また、人権の保護や本人の意思尊重に努めなければなりません。これは人道的な観点からだけでなく、法令としても順守する必要があります。人事や第三者に相談するなど、情報の収集・管理・使用に際しては、なんらかの方法で本人の同意を得ることが原則とされています。このように、関連する法令や、社内規則を順守し、日頃のコミュニケーションの中で得た部下の情報を、正当な理由なく他に漏らさないようにしましょう。

*管理監督者も一人で抱え込まない

相談を受けた場合に、親身になって考え、何とかしてあげたいという思いや責任感の強さから、管理監督者が過剰なストレスを抱え込み、メンタル不調に陥ってしまうというケースがあります。管理監督者も一人で抱え込まず、人事や産業医、外部機関に相談することが大切です。

*管理職向けのメンタルヘルス研修を実施する

社員の心身の健康増進には、企業(人事や総務、健康管理担当者)が社員に対して健康情報に触れる機会を多く提供し、健康の維持と増進を図ることが重要です。「今は関係ない」「自分のことではない」と思ってしまうと、一度聞いた内容でも関心が薄れてしまうことがあります。メンタルヘルス対策や健康増進に関しても同様で、健康な時に聞いても、なかなか自分事として捉えにくいものです。これらを踏まえ、長期的に複数回、テーマを変えて研修を行うなど、メンタルヘルス対策に触れる機会を増やしましょう。

まとめ

今回は、企業が取り組むべきラインケアについて、企業としてのメリットや注意点についてご紹介しました。前述したように社員研修を導入することで、着実に健康意欲は高まり、健康風土が醸成されていきます。

ラインケア研修をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。

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