新入社員向けコンプライアンス研修で取り扱うべき5つのテーマ- 社員研修のCAM
「コンプライアンス」は、新入社員研修に欠かせないテーマのひとつです。新入社員の中には、コンプライアンスに馴染みが無いことから、遵守の意識が低く、「どんなことに気をつければいいか」分からない人も多くいます。しかし、組織で仕事をする上で、コンプライアンス意識は欠かせません。不祥事を防ぎ、企業や社員自身の信用を維持・向上させるためにも、コンプライアンス教育は繰り返し行うことが重要です。そこで今回は、新入社員のコンプライアンス意識を高めるために「コンプライアンス研修で取り扱うべき5つのテーマ」について紹介します。
「コンプライアンスとは何か」を伝える
まず伝えるべきことは「コンプライアンスとは何か」です。新入社員の中には「コンプライアンス」を「法令遵守」という意味で理解している人もいますが、コンプライアンスは法令さえ守っておけば良いというわけではありません。公共の場で同僚と社内の話をしていたとしても、その行為自体が何かの法令に触れることはありません。しかし、話の内容に自社や取引先が特定できるレベルの情報が含まれていると、情報漏洩としてコンプライアンス違反に該当する可能性があります。
コンプライアンスとは、大きく以下の3つを守ることです。
- 法令
- 就業規則(社内規定)
- 社会規範
「法令」に関しては言うまでもありませんが、次に守るべきは、企業で働くためのルールである「就業規則」です。たとえば、製造の現場に情報機器の持ち込みを禁止している場合には、このルールを守らなければいけません。法律で禁止されていないからといって持ち込むと、コンプライアンス違反になりかねません。また、交通費や出張費などの経費計算を適切に行うことや、契約書などの重要書類を所定の手順で保管すること、製造現場での安全確認を決められた手順通り行うことなども同様です。
さらには、「社会規範」つまりマナーやエチケットも守らなければいけません。具体的には、差別やハラスメントをしない、SNSに不適切な投稿をしない、公共の場で騒がない、ポイ捨てしないことが含まれます。当たり前のことに感じるかもしれませんが、当たり前だからこそ、守らなければ会社と本人の評価を大きく傷つけてしまう恐れがあります。
そのため、コンプライアンスとは「法令・規則・マナーを守った振る舞いにより、会社と自分を含めた従業員の信用を維持・向上すること」と考えるとよいでしょう。この基本を新入社員にしっかり伝えれば、コンプライアンスの理解はより容易になります。
新入社員向けコンプライアンス研修で取り上げるべき5つのテーマ
コンプライアンスで取り上げるべきテーマは多岐に渡ります。その中でも、業種・職種に関係なく共通して取り上げるべき5つのテーマをご紹介します。
1. 情報セキュリティ(SNSの使用方法)
セキュリティは、ハードとソフトの両面から注意する必要があります。(なお、ハード面は業務用情報端末の管理や、画面ロックなど技術的な問題であるため、今回は割愛します。)
ソフト面は、情報の取り扱いに関する問題です。たとえば、社外で業務の話をすることを避ける、社外でスマートフォンやPCを使用する場合は周囲から画面を見られないよう留意する、通話時は周囲に人がいない場所を選ぶなどの配慮が必要です。扱っている業務や情報によっては、社内の別の部署でも話さないようにする配慮が求められることもあります。
新入社員に対して特に気をつけたいことは「SNSの使用方法」です。機密情報や個人情報、仕事の愚痴などをうっかり投稿することがないよう注意しなければいけません。たとえば、接客業の従業員が芸能人の来店を投稿して問題になった事例は多くあります。また、仕事内容やハラスメントに対する愚痴は内部告発に相当する可能性があるため、SNSに書き込むより先に、社内の担当部署に相談する必要があります。
「新入社員のSNS利用」については、以下の記事でも解説しています。
参考記事:新入社員に伝えたいコンプライアンスとSNS利用
2. ハラスメント
近年「ハラスメント」に対する意識は世間的にも高まっています。「ハラスメント」は上司から部下に対するイメージが強いですが、新入社員が何気ない言動によりハラスメントの加害者になるケースは珍しくありません。
高圧的な態度を取るパワーハラスメント(パワハラ)、性的な嫌がらせを行うセクシャルハラスメント(セクハラ)、道徳に反する嫌がらせを行うモラルハラスメント、飲酒を強要するアルコールハラスメントの他にも、様々なハラスメントがあります。そのため、相手の尊厳や人格を傷つける言動は、全てがハラスメントに該当すると言っても過言ではありません。
ハラスメントについて研修を行う場合は、ハラスメント行為を伝えるだけでは不十分です。引き起こさないための環境づくりや、自分自身が被害者になった場合の対応方法なども伝える必要があります。
3. 社内規定や就業規則
交通費や経費の精算、書類や備品の取り扱いもコンプライアンスの範疇に含まれ、不正請求や備品の私物化もコンプライアンス違反に当たるため、社内規定を周知しする必要があります。
備品の私物化は、会社の備品を持ち帰り自宅で使うことだけでなく、業務用のPCなどを私用のメールやオンラインショッピング、インターネット閲覧に使うケースも含まれます。また、副業を禁止している会社の場合、会社に黙って副業をすることもコンプライアンス違反になり得ます。入社時はもちろんのこと、定期的に就業規則を確認して、禁止行為を認識させる必要があります。
4. 法令遵守
業務に関わる法令を遵守するのは当然です。新入社員向けの研修で特に伝えておきたい法令は、労働法、著作権・意匠権・商標権や景品表示法、不正競争防止法、(業種により)薬機法、労働安全衛生法などが挙げられます。
著作権・意匠権・商標権については、デザイン関係の業種・部署はもちろん、営業や広報がプレゼン資料を作る場合や、公式ブログやSNSを投稿する場合にも関わります。また、適切な表現・方法で営業活動を行うためには、景品表示法や不正競争防止法の知識は不可欠であり、広告・パンフレット等を作るクリエイティブ職、営業職には必須知識のひとつです。
また、化粧品や健康食品を扱っている会社の場合、宣伝広告の表現等が薬事法で規制されているなど、業種・職種により求められる知識もある為、関連する法律を調べておく必要があります。
5. 一般的なマナー
コンプライアンスで求められるなマナーは、ビジネスマナーだけではなく、社会人として一般的なマナーやエチケットも含まれます。ゴミのポイ捨て、列への割り込み、大声での会話など、うっかりやってしまいがちな行為もコンプライアンス違反に当たるため、社会人として恥ずかしくない振る舞いが求められていることを理解させましょう。
コンプライアンス研修のテーマは他にも様々な方法で探すことができます。詳しくは以下のページで紹介しています。
参考記事:永久に尽きないコンプライアンス研修のネタの探し方-実践的社員研修のCAM
新入社員向けコンプライアンス研修を成功させるコツ
新入社員向けのコンプライアンス研修を成功させるためには、3つのコツがあります。
当事者意識を持たせる
まずは、受講者に当事者意識を持たせることが重要です。特に新入社員は「社会人になったばかりだから、分からなくて当たり前」という意識を持っていることも少なくありません。確かに、社内手続きなど難しいことも多く、うっかりミスや認識不足もあるでしょう。しかし「分からないから仕方ない」と「分からないけど気をつけよう」の意識には大きな差があります。「分からないけど気をつけよう」思えるように、研修を通じて当事者意識を持たせることが大切です。
共感できる事例を紹介する
1つ目のコツである「当事者意識を持たせる」ために必要なことが、研修内で共感できる事例を紹介することです。SNSに仕事の愚痴を投稿した、駅や電車の中などで仕事の電話を受けそのまま話をした、学生時代の友人に仕事の話をしてうっかり社外秘の情報を漏したなど、新入社員にありがちな事例を紹介すると、より自分事として考えることができます。
研修をやりっぱなしにしない
コンプライアンス意識は、一度研修を受講しただけでは身につきません。研修の中では内容を理解していても、日々の業務に追われる中で学んだことを忘れたり、気持ちが緩んだりすることもあるでしょう。研修後はフォローをしっかり行うことで、行動に落とし込み、自然とコンプライアンスに沿った行動ができるようにする必要があります。
弊社では、コンプライアンス研修後も継続的にフォローを行い、研修で得た知識を行動に落とし込み、定着を促すプログラムをご用意しております。
まとめ
コンプライアンスは、法令はもちろん就業規則などの社内規定や一般的なルール・マナーも守ることが含まれます。新入社員向けの研修では、特にSNSを含めた情報セキュリティ、ハラスメント、社内規定や就業規則、法令遵守、一般的なマナーの5つを中心に扱いましょう。新入社員が共感できる事例を取り入れて研修を行うことで、当事者意識が持ちやすくなります。さらに、研修後はフォローを行うことで、研修の効果がより向上します。
弊社でも、新入社員向けのコンプライアンス研修を行っており、研修の内容は企業様ごとにヒアリングを行い、完全オーダーメイドで構築しております。研修後のフォロー研修や効果測定も行っておりますので、より高い研修効果が期待できます。新入社員向けコンプライアンス研修の実施をお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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