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コンプライアンス違反による炎上を防ぐためのSNS教育

2021.02.18 コラム

様々なSNSが普及する現代社会において、企業によるコンプライアンス対策の重要性が高まっています。社員の個人的なSNSアカウントでのトラブルであっても、投稿内容から 企業が特定され、責任を問われるケースも珍しくありません。社員によるコンプライアンス意識に欠けた不適切な振舞いは、SNSを通じて拡散され、炎上し、企業の イメージや経営に深いダメージを与えます。このような事案の発生は、今やどの企業にとっても他人事ではありません。

そこで今回は、コンプライアンス対策として注意すべき「SNSを通じたコンプライアンス違反の事例と炎上を防ぐ方法」をご紹介いたします。

企業におけるコンプライアンスとは

コンプライアンス(compliance)とは「法令遵守」を示す言葉ですが、「法令」とは、法律のことだけではありません。就業規則などの社内規定に加え、「社会通念」や「常識」などはっきりと明文化されていない内容まで含まれています。そのため、粉飾決算や情報漏洩、各種ハラスメントだけでなく、社内備品の私的利用、SNSへの不適切な投稿、歩きスマホなど、これら全てがコンプライアンス違反の対象となります。

SNSが全盛の現在、コンプライアンスの中でも「社会通念」の重要性が増しています。企業に対して「社会通念が守れていない」というイメージが定着すると、不買運動やクレームなど、多大なダメージに繋がりかねません。企業が公開するHPや広告だけでなく、社員の個人的なSNSの投稿の炎上により、企業全体のイメージが低下するケースも少なくないため、社員一人ひとりに対しての意識づけと、ルールを伝えるための教育が必要です。

SNSとコンプライアンス違反

SNSへの投稿を通じてコンプライアンス違反が問題となるケースが多発しています。3つのケースに分けて事例をご紹介します。

・SNSでコンプライアンス違反が指摘されるケース

<情報漏洩①>

家族で撮影した写真に、テレワークで家に持ち帰っていた機密情報が映り込んでいたが、気づかずにSNSに投稿。知人から指摘を受け、投稿を削除したものの、既に複製・拡散されており、情報漏洩に繋がった。

<情報漏洩②>

自身が働いているお店に有名人が来店したことを、家族間の会話として母親が娘に話し、娘がSNS上でその情報を投稿。さらに、その芸能人について「住所をざっくりと教えてもらった」「母が帰ってきたら情報をたくさん聞こう」などと投稿したことで、情報漏洩、プライバシーの侵害行為と瞬く間に拡散され、最終的には企業が正式に謝罪する事態に陥った。

・SNSを通じて発覚するケース

<不適切行為>

某飲食店のアルバイト従業員Aが、ゴミ箱に捨てた食材を再度まな板で調理する様子をアルバイト従業員Bが撮影。この動画を受け取った友人のCが、SNSに投稿し、拡散され当該企業へ批判が殺到した。この事案を受け、AとBは退職処分となり、さらにBとCは「偽計業務妨害」、Aは「偽計業務妨害ほう助」の容疑で書類送検された。企業は再発防止策として、国内外の全店舗、全従業員を対象に、携帯電話・SNSに関する勉強会を実施した。

・SNSで告発が行われるケース

<内部告発>

某宅配業者の社員を名乗る人物が、告発用のアカウントを作成して、「冷凍、冷蔵の荷物を常温に近い状態で放置している」「慢性的な人出不足で作業が追い付いていない」などの内部事情を写真と合わせてSNSに投稿。利用者や同業者から企業批判の声が多く集まった。

<ハラスメント>

上司からセクハラを受けていると感じた社員が、SNSでセクハラの実態を社名や上司の名前を含めて告発。社内の法務部門も気づかないうちに、SNSで大きな話題を呼び、メディアでも取り上げられるになった。企業の公式コメントの発表までに時間がかかったことからさらに炎上し、大きなブランドイメージの低下に繋がった。

SNSで炎上しやすい投稿

ここまでSNSへの投稿を通じてコンプライアンス違反が問題となったケースを挙げましたが、どのような投稿がトラブルの原因になるのでしょうか。炎上しやすい投稿をご紹介します。

  1. 偏見や思い込みなどによる不意の失言
  2. 非常識な振舞い
  3. 自分や他人の個人情報(有名人も含む)
  4. 元社員や関係者による暴露
  5. 第三者によるなりすまし
  6. 差別的な表現

SNS炎上時の対応方法

万が一、投稿が炎上した場合には、冷静かつ素早い対応が求められます。初期対応を誤ると取返しのつかない事態に陥ることもあるため、注意が必要です。ここではトラブルが発生した際の対応方法を2つご紹介します。

・事実確認

まず、炎上に対しての事実確認を早期に行うことが重要です。「何が批判の原因か」「批判されている内容は事実か」「誤解だとすれば、何が本当なのか」など、早急に確認し事実を明らかにする必要があります。炎上の原因を正確に確認しないまま安易に謝罪や説明を行うことは非常に危険です。まずは、状況を正確に把握することに努めましょう。その上で誠実な謝罪と再発防止策の提示を行い、世間に安心感を与えることが必要です。

・炎上投稿を削除しない

自社や社員によるSNSの投稿が炎上した場合、原因となった投稿を慌てて削除するのは得策ではありません。例え削除をしても既に広まった情報をインターネット上から消すことはできません。また削除することで隠蔽したと思われ、さらなる炎上を招く恐れがあります。

SNSの炎上を未然に防ぐポイント

炎上した場合の対応方法をご紹介しましたが、そもそも炎上しないこと、させないことが必要です。SNSの炎上を未然に防ぐポイントを3つご紹介します。

・社員向けSNSポリシーの策定

社員が炎上のきっかけとなる投稿をしないよう、企業によるSNSポリシーの策定が求められます。一度発信された発言は残り削除されないこと、他者への配慮を忘れずにネガティブな発言は控えることなど、SNS利用に対するガイドラインを設定することで社員の行動規範を作ることができます。

・内部通報制度の導入

コンプライアンスに違反する行動などを社員が相談、通報できる窓口を社内に設けることが必要です。「問題に対して、社内で対応・解決方法を考えることができる」「匿名でも社内に告発ができる」「集まった相談内容、件数を知ることで社内の環境改善に繋げることができる」などのメリットがあります。

・SNS教育の実施

社員のコンプライアンス意識を高めるために、SNS教育の実施は非常に有効です。今や誰でも簡単にSNSを通じて情報拡散が可能な時代ですが、誤った使い方によって起きるリスクについては、まだ十分に理解されていません。そのため、社員が遵守すべきSNSポリシーの策定・展開や、SNS利用に関するリスクマネジメントコンプライアンスの研修を実施し、社内全体の意識を高めることが必要です。

まとめ

SNSの利用が一般的な現代社会において、コンプライアンス対策としてのSNS教育は欠かせません。万が一炎上した際の対応方法について検討しておくことはもちろん、炎上を引き起こさないための取り組みを行い、社員一人ひとりの意識を高めましょう

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コンプライアンスや労働基準法への意識欠如で、気づかぬうちに働かせ過ぎていた!?~大島農機株式会社~

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