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社員の心の健康を考えるメンタルヘルス研修のポイント-社員教育のCAM

2022.05.20 コラム

社員がメンタル不調に陥らないよう、企業は様々な対策が求められています。2015年には労働者が50人以上いる事業所に対し、年1回以上のストレスチェックの実施が義務づけられました。しかし、社員のメンタルヘルスを守るためにはストレスチェックだけでは不十分です。

メンタルヘルス維持のために有効な対策として、メンタルヘルス研修が挙げられます。メンタルヘルス研修には、従業員ひとりひとりが自分のストレスと向き合う方法を学ぶ「セルフケア研修」と、管理者が職場のメンタルヘルスを維持する仕組みを学ぶ「ラインケア研修」の2種類があり、それぞれを組み合わせて行うことで、より効果的になります。そこで今回は、「社員の心の健康を考えるメンタルヘルス研修」について紹介します。

メンタルヘルス研修の重要性

厚生労働省が令和3年に発表した「労働安全衛生調査(実態調査)」という調査によると、調査対象になった事業者のうち9.2%が、「過去1年間にメンタルヘルスの不調により連続1ヶ月以上休職、もしくは退職した労働者がいた」と回答しました。社員がメンタル不調に陥ると、一時的、あるいは恒久的な離職につながる恐れがあります。そのため、メンタルヘルス維持のための対策が欠かせません。

同調査によると、義務づけられたストレスチェックの他にも、メンタルヘルスの不調を訴える労働者に対する配慮や、休職者の職場復帰支援などに取り組んでいる企業は少なくありません。このような取り組みを行うには、管理職に職場全体のストレスやメンタルヘルスについて理解を深めてもらう必要があり、部下がメンタル不調に陥った場合の配慮や接し方も大切です。

もちろん部下も、一人ひとりがストレスやメンタルヘルスについての理解を深め、ストレスに対応する知識やスキルを習得しなければいけません。そのためには、専門知識を持つ講師による「メンタルヘルス研修」が不可欠です。実際に、メンタルヘルス研修に取り組む企業は多く、令和3年版「労働安全衛生調査(実態調査)」でも、全体の33%の企業がメンタルヘルス研修を取り入れていると回答しました。

メンタルヘルス研修の種類

メンタルヘルス研修には大きく2種類の研修があります。社員が自分自身のストレスとの付き合い方を学ぶ「セルフケア研修」と、管理職がストレスが発生しにくい職場づくりを学ぶ「ラインケア研修」です。この2つはそれぞれ目的や対象者が異なるため、会社全体のメンタルヘルス対策を考えるのであれば、それぞれの研修をバランスよく行う必要があります。

それぞれの研修の特徴をご紹介します。

セルフケア研修

「セルフケア研修」とは、ストレスとの上手な付き合い方を学ぶ研修です。ストレス要因や、ストレスを受けている時の自分が発する「ストレスサイン」、ストレスとの向き合い方や解消法について、自分自身を見つめ直し、受講者同士で共有することで、学びや気づきを得ます。

また、自分自身の怒りに向き合う「アンガーマネジメント」についても学びます。アンガー(怒り)はストレスと密接な関係がある感情のひとつです。自分が怒られることはもちろん、誰かが怒られているのを見るだけでもストレスは溜まります。自分自身が誰かのストレス源にならないよう、怒りという感情に向き合い、上手に解消しなければいけません。

セルフケア研修の対象者は、新入社員や若手社員などの若年層であることが多いです。なぜなら、新入社員や若手社員は経験が浅く、ストレス要因や、その対応を明確に理解できていないケースが多いためです。ある程度、年齢や経験を重ねた社員の場合、ストレス要因や対応をある程度理解していることも多いですが、だからといって放置してはいけません。ストレスチェックの結果を基に、必要に応じてセルフケア研修を受けてさせると良いです。

ラインケア研修

セルフケア研修を行い、個人がストレスに対応できる知識を得たとしても、職場の仕組みや構造にストレス要因があると改善はしません。そこで、職場全体でストレス要因を減らし、社員のメンタルヘルスを維持する仕組みを作るための「ラインケア研修」ですが必要です。ラインケア研修は、部下の健康維持が求められているリーダー層や管理職が主に受講する研修で、メンタルヘルスへの配慮やフォローの他、職場の改善も求められます。

ラインケア研修では、部下のメンタルの変化に早く気づくために必要な知識や、メンタル不調に陥った部下への適切な対応を学びます。管理職が部下を適切にケアできる体制を作り、必要に応じて産業医と連携するなど、会社全体でメンタルヘルスケアに取り組む姿勢を作る必要があります。

メンタルヘルス研修を効果的に行うポイント

メンタルヘルス研修をより効果的に行うために、押さるべきポイントが2つあります。

受講者に合わせたカリキュラム設定

一つ目は、受講者に合わせたカリキュラムを設定することです。「ストレス」と言っても、業界や業種・勤務形態によりストレスの原因は異なるでしょう。どのような研修であっても、受講者がその内容を「自分事」として捉えることができなければ、狙い通りの効果は出にくくなります。例えば、外勤の社員が内勤向けの話を聞いても、ストレスに対する理解は深まらず、日々の業務に活かすこともできません。そこで重要なことが、ストレスチェックの結果や事前のヒアリングを基に、受講者が自分事として話を聞き、考え、理解できるカリキュラムを作ることです。

メンタルヘルス研修は専門性が高いことから、自社では行わず、多くの企業が研修会社に委託しています。外部委託する際は、事前に綿密な打合せを行うことで、受講者に合ったカリキュラムを作ることが、研修の効果を高めるポイントです。

研修後のフォロー

どんな研修でも研修後のフォローが大切です。研修で学んだことを職場や生活の中で活かし、一人ひとりがストレスに上手く対応できているか、職場全体でメンタルヘルスに取り組めているか、定期的にチェックを行い、状況に応じたフォローが必要です。

フォローに活用できるツールとしては、ストレスチェックや公的機関の相談窓口が挙げられます。また、厚生労働省が作成した労働者向けメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」には、職場のメンタルヘルス維持に役立つツールや情報が多く掲載されています。また、産業医との連携もフォロー手段のひとつです。メンタル不調に陥らないことはもちろんですが、陥った時に速やかにサポートできる仕組みを整える必要があります。まずは研修を通じて知識を習得し、学んだ知識を日常の業務に活かすことが、研修効果を高めるためには一番大切です。

まとめ

社員のメンタルヘルスを守ることは、企業にとって重要な取り組みであり、そのための一つの方法として「メンタルヘルス研修」が挙げられます。メンタルヘルス研修は、一人ひとりが自分のストレスに対応できる知識をつける「セルフケア研修」と、管理職が部下のメンタルヘルスを維持し、職場全体の環境を整えるための知識を習得するラインケア研修」があります。この2つの研修をバランスよく行うことが、職場全体のメンタルヘルスを維持するために必要です。必要に応じて、産業医や公的機関とも連携し、職場全体のメンタルヘルスに努めていきましょう。また、弊社でも「セルフケア研修」「ラインケア研修」を共に実施しておりますので、メンタルヘルス研修をご検討の方は、ぜひ一度お問い合わせください

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