自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーションのポイント-社員教育のCAM
目次
はじめに
「相手に気を遣って言いたいことが言えない」「うまく自己主張ができない」とストレスを抱えている人も多いのではないでしょうか。
場合によっては蓄積した不満が爆発し、周囲との間に軋轢が生じてしまうこともあるかもしれません。
アサーティブコミュニケーションとは相手の気持ちを尊重しながら、適切に自己主張するコミュニケーション手法で、円滑な人間関係の構築に役立ちます。また、アサーティブコミュニケーションの効果はビジネスシーンでも認められており、経営者研修やリーダー研修、新入社員の教育など、多くの教育にも取り入れられています。
そこで今回は、ビジネスシーンにおいて「互いの考えをしっかりと伝え、意見交換ができるアサーティブコミュニケーション」について、わかりやすく解説いたします。
アサーティブコミュニケーションとは
アサーティブ(assertive)には「断言的な」「言い張る」「自己主張する」とった意味があります。ただしビジネスシーンにおいては、一方的に主張するのではなく相手の気持ちを配慮し、かつ自分の気持ちや考えも大切にする伝え方のことを指します。そのため、アサーティブコミュニケーションを身につけることで、互いにストレスをためない良好な意思疎通が可能になります。
アサーティブな自己主張のポイント
ここでは、アサーティブな自己主張とはどういったものか、4つのポイントを確認します。
主語は「私」で伝える
主語を相手ではなく「私」にして伝えることで、攻撃的な表現になることが避けられます。「私が〇〇だから、あなたに××してほしい」「あなたが△△してくれると、私は〇〇だ」というような伝え方です。例えば、会話の中で何かわからない表現があった場合、「あなたの話は分かりにくいです」と言うと相手を責めるニュアンスが強くなります。しかし、「(私が)勉強不足で大変恐縮ですが、もう少しかみ砕いて説明していただけると幸いです」というように「私」を主語にすると率直に気持ちを伝えることができますし、相手に不快感を与えにくくなります。
正直に伝える
自身の気持ちを偽りなく正直に伝えることは、相手に対する誠実さにもつながるといえます。たとえ意見の対立があったとしても、自分の気持ちに背いてまで賛同する必要はありません。意見の相違があった時には一度、相手の意見を聞き、その考えを受け止めたうえで、自身の主張を示すと良いでしょう。冷静に相手の話を聴き、言葉を選んで自分の意見を伝えることで相互理解が深まります。
対等な立場で伝える
アサーティブコミュニケーションでは、対等な立場で意見を伝えることが重要です。上司と部下といった上下関係を理由に納得できない意見に同調したり、主張を我慢したりすることは、その場での衝突は避けられるかもしれませんが、問題の根本的な解決ができないため誠実であるとはいえません。また上下関係を利用して、強い立場の者が意見を押し通すこともあってはなりません。
すべては自己責任である
アサーティブコミュニケーションでは、すべてのコミュニケーションの結果を自己責任と捉えます。相手の非を責める気持ちがあると、自らを省みることをしなくなります。コミュニケーションがうまくいかない場合、何かしらの責任が自分自身にもあると考えることで、事態を好転させようとする工夫が生まれます。
アサーティブコミュニケーションのメリット
アサーティブコミュニケーションは、日常的な人間関係だけでなく、職場の人間関係にもメリットをもたらします。以下に5つご説明します。
- 生産性が向上する
- 働きやすい職場環境がつくれる
- ハラスメントを防止できる
- ストレスを軽減できる
- 離職や休職を防げる
1.生産性が向上する
アサーティブコミュニケーションでは、相手に対して明確かつ的確に意見を伝えるため、仕事に関する情報共有をより詳しくスムーズに行えるようになります。結果的に、状況把握や仕事の分担、調整が適切にできるようになり、業務効率が向上すると考えられます。
また、初めから仕事の目的が明確になっているため、たとえトラブルが発生しても早い段階で対処できるようになります。業務効率が上がれば、全体でこなせる仕事量が増え、最終的には職場の生産性の向上につながります。さらに、率直な意見交換ができれば、議論の活性化やその中から新たなアイデアが浮かぶことも期待できます。
2.働きやすい職場環境がつくれる
仕事を進める際には同僚や上司、部下といったさまざまな立場の人たちとコミュニケーションを取っていきます。アサーティブな姿勢を身に付けることで対人関係によるストレスが軽減でき、良好な職場環境が整えられます。
3.ハラスメントを防止できる
アサーティブコミュニケーションの効果として、ハラスメントの防止も期待できます。アサーティブコミュニケーションが職場内で浸透すると、従業員はそれぞれの価値観や考え方を尊重できるようになり、ハラスメントが発生しにくい職場環境につながります。
4.ストレスを軽減できる
アサーティブコミュニケーションができない状態では、自分の意見を伝えられずに相手の意見を受け入れる一方で、過度のストレスがたまってしまう恐れがあります。そのため、業務や悩みを抱え込んでしまい、精神的に追いつめられてしまうケースもあります。アサーティブコミュニケーションを身に付ければ、他人に配慮しすぎず自身の意見や考え、気持ちを率直に伝えられます。これにより、自身も納得しながら仕事を進められるため、ストレスを抱え込む状況も減るでしょう。
5.離職や休職を防げる
離職の原因として最も多いのは、職場の人間関係の悪化です。アサーティブコミュニケーションにより良質なコミュニケーションが浸透している職場では、良好な人間関係が保たれ、従業員の休職や離職も少なくなることが期待できます。こうした職場環境はストレスがたまりにくく、従業員のメンタルヘルスも良い状態がキープできるといえます。
アサーティブに伝えるためのDESC法
DESC法とは、Describe(描写)、Explain(説明)、Suggest(提案)、Choose(選択)の頭文字を取ったトレーニング方法です。今回は、アサーティブコミュニケーションを実践するための手法の一つとして、以下に4つのポイントに絞ってご紹介します。
- 事実を示す「Describe(描写)」
- 自分の気持ちを伝える「Explain(説明)」
- 提案をする「Suggest(提案)」
- 行動を選択する「Choose(選択)」
1.事実を示す「Describe(描写)」
「Describe」は、起こった状況や相手の行動について意見を述べます。相手に対する評価や推測、自分の感情は含めずに、具体的かつ客観的な事実だけを伝えることが大切です。主観が入ってしまうと、正しい情報を相手に伝えきれない可能性があります。
2.自分の気持ちを伝える「Explain(説明)」
「Explain」は、事実に対する自分の主観的な気持ちを感情的になったり攻撃的になったりしないよう注意しながら、相手に伝えることです。感情を押し付けすぎてしまうと、事実と論点がずれてしまったり、攻撃的になって相手が怯んでしまったりする可能性があります。
3.提案をする「Suggest(提案)」
「Suggest」は、自分の気持ちを伝えた後、自分が何を求めているのかについて、具体的な行動を要求して相手に伝えることを表します。相手に一方的に意見を押し付けるのではなく、あくまでも提案と依頼という形を取ることが大切です。
4.行動を選択する「Choose(選択)」
「Choose」は、自分が具体的に求めているものを提案した後、相手の反応がYes・Noそれぞれの場合に自分が取るべき行動を選択することを表します。提案は全て通るわけではなく、提案が通らなかった場合はより良い提案(Suggest)が必要となります。
まとめ
コミュニケーションは日常では無意識に行っていることが多く、主観で気付きを得ることが難しいものです。特に、アサーティブコミュニケーションは、意識的に訓練することで身につくものです。そのため研修を導入し、まずは社員一人ひとりにアサーティブコミュニケーションについて認知してもらうことが重要です。
「アサーティブコミュニケーション研修」をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。
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