アンコンシャスバイアスとは?
―職場での具体例と研修実施のメリットをご紹介―
目次
- はじめに
- アンコンシャスバイアスとは
- アンコンシャスバイアス研修を実施する背景
- 職場で起こりやすいアンコンシャスバイアスの例
- アンコンシャスバイアスが企業に及ぼす悪影響とは
- アンコンシャスバイアス研修を行うメリットとは
- まとめ
はじめに
何かを見たり聞いたりしたときに、事実は別として無意識に“こうだ”と思い込んでしまうことはありませんか。
こういった先入観や無意識の偏見・思い込みは「アンコンシャスバイアス」と呼ばれ、組織におけるコミュニケーション不全やモチベーション低下につながることもあります。
そこで今回は、「アンコンシャスバイアスの具体例と研修実施のメリット」について、わかりやすく解説いたします。
アンコンシャスバイアスとは
アンコンシャスバイアス(Unconscious bias)とは「無意識の偏見や思い込み」という意味で、過去の経験や自分自身の価値観から無意識に現れる、物事の捉え方の偏りやゆがみ、言動を指します。
アンコンシャスバイアス研修を実施する背景
人種・年齢・性別・能力・価値観など、さまざまな違いを持った人々との共存が当たり前となった昨今、ビジネスシーンにおけるアンコンシャスバイアスが注目されるようになりました。
日本でも、女性管理職、外国人労働者の受け入れ、高齢者の再雇用、LGBTQ+などダイバーシティが加速しています。また近年、多くの企業が取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)の中にも、ジェンダー平等や不平等の撤廃が目標として掲げられています。
さらに、職場でのハラスメントを防ぐ目的でも、アイコンシャスバイアス研修を取り入れる企業が増えています。職場のハラスメントは、ハラスメントの加害者側には自覚がなくても、被害者や周囲の人が精神的苦痛を感じる事例が多く、どのような職場でも起こりうる問題のため、学びが必要です。
職場で起こりやすいアンコンシャスバイアスの例
ここで、職場で起こりやすいアンコンシャスバイアスの例をご紹介します。
種類 概要
ステレオ タイプ |
細これまでの経験を基に、他者を「性別」や「年齢」「国籍」などによる先入観、思い込み、認識、固定概念、偏見、によって判断すること |
---|---|
正常性 バイアス |
危機的状況下でも、自分にとって都合の悪い情報を無視や過小評価すること |
権威バイアス | 地位や肩書などの権威がある人に対して、その発言内容や人物への評価が高くなること |
集団同調性バイアス | どのように行動したら良いか迷った際、周囲の人と同じ行動を取ることが安全だと思い込むこと |
確証バイアス | 自分の仮説や信念に賛成する情報ばかりを集め、反対する情報を集めようとしないこと |
ハロー効果 | ・人やものに顕著な特徴があると、それに対する評価が影響を受けて歪むこと ・ネガティブな影響を及ぼす「ネガティブ・ハロー効果」とポジティブな影響を及ぼす「ポジティブ・ハロー効果」の2種類がある |
現状維持 バイアス |
変化することを不安に感じ、現状維持を望む心理傾向のこと |
バイアスの 盲点 |
他人の判断におけるバイアスの影響は認識できるが、自分自身の判断に対するバイアスの影響は認識できないこと |
続いて、具体例をご紹介します。
*採用場面でみられる事例
育児や介護と仕事の両立はできないと思い込み、介護中・育児中の人を採用しない ・自身と同じ出身地、同じ出身大学の人を優遇して採用する ・体育会系サークル、大学の出身者は根性があると思い込み、採用する
*人事評価でみられる事例
性別、年齢、国籍といった、仕事とは直接関係のない属性に基づき評価する ・自身と気が合わない部下、前回の評価が低かった部下に対して低く評価する ・自身と仲が良い部下、同郷の部下に対して高く評価する
*業務場面でみられる事例
女性は結婚、妊娠、出産で休職や退職をすると思い込み、簡単な仕事しか与えない ・定時で退社する社員は怠け者で、残業する社員は頑張っていると思い込む ・お茶出しや事務仕事などは女性がやるものと決めつける
他にも、内閣府による実態調査が下記にまとめられているので、管理職や研修担当の方はぜひご確認ください。
◆内閣府「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)事例集」
アンコンシャスバイアスが企業に及ぼす悪影響とは
組織でアンコンシャスバイアスを放置すると、企業全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
経営への影響
社内でアンコンシャスバイアスを放置し続けると、管理職やリーダー、多数派の意見が重視されるようになります。その結果、多様な意見、価値観が軽視され、技術やアイディアの創出ができず企業の成長が阻害される可能性があります。また、価値観の多様性が認められない状態が続くと、ハラスメントやコンプライアンス違反を引き起こす恐れもあり、それが明るみに出ると、企業価値の低下にもつながりかねません。
組織への影響
人事評価においてアンコンシャスバイアスがみられると、社員は評価の公正性に疑問を抱くようになります。また、育成、配属、昇進などの場面でアンコンシャスバイアスが作用すると「自身の成長につながらない」「キャリアが尊重されない」と感じる社員も出てくるでしょう。その結果、社員の関係悪化やモチベーションの低下、組織に対するエンゲージメントの低下、離職率の増加などにつながる可能性があります。
以上のように、アンコンシャスバイアスは誰しもが持ち合わせていることから、完全になくすことは難しいです。また、言葉の意味だけで捉えると悪いもののように感じますが、無意識の思い込みや言動のすべてが一概に否定されるべきとは言い切れません。そのため、是正するという意識ではなく、自分自身のアンコンシャスバイアスを理解する、すなわち「無意識の偏見を意識してコントロールする」ことが求められます。
アンコンシャスバイアス研修を行うメリットとは
企業がアンコンシャスバイアス研修を行うメリットとして、以下の3つが挙げられます。 ①マネジメントの質が向上する ②業績が向上する ③職場の心理的安全性を担保できる
①マネジメントの質が向上する
マネジメントを行う立場にある管理職にアンコンシャスバイアス研修を行うと、各々が持つ偏見や思い込みに気づき、マネジメントの質が向上します。例えば、管理職が「育児休暇は女性の権利」という思い込みに囚われていると、男性社員は育 児休暇を取得しづらく、周囲の理解も得られません。ここでアンコンシャスバイアスに気づくと、仕事の評価と育児休暇の取得を切り離して考えることができるようになり、組織全体でも育児休暇を取得しやすい社風を醸成できます。
②業績が向上する
社員一人ひとりのアンコンシャスバイアスを取り払うことで、誰もが自分の能力を最大限に発揮できる環境を整えることができ、業績向上が見込めます。また、多様な価値観や意見を受け入れ、組織全体の柔軟性が高まれば、組織力の強化につながり困難な社会情勢にも耐えうる企業へと成長することができるでしょう。
③職場の心理的安全性を担保できる
心理的安全性とは、チームの中で他のメンバーを気にすることなく発言できる状態を指します。偏見を持つ人がおらず、組織の中で誰に対しても、自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態であれば、思いついたアイディアや考えを率直に発言することができ、忌憚のない意見を集約することができます。つまり、心理的安全性を保証できるチーム作りが、生産性や売上向上につながる第一歩です。
まとめ
「アンコンシャスバイアス研修」を実施し、組織全体で自身の持つアンコンシャスバイアスについて理解することで、働き方改革やダイバーシティの考え方の推進、ハラスメント防止、組織強化、業績向上など、さまざまな効果があります。また、社員がアンコンシャスバイアスを意識して周囲と関わり、業務を行うことで、企業の持続的な成長や対外的な企業価値の向上にもつながります。
アンコンシャスバイアス研修をご検討の方は、ぜひ一度、キャムテックへお問い合わせください。
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