効果を高めるハラスメント研修の内容と実施のポイント-社員教育のCAM
2022年4月より、中小企業を含む全ての企業に対して、「ハラスメント防止措置」が義務付けられました。しかしながら、何を行えば良いか悩んでいる企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。その場合には、社員全員にハラスメントを考えさせ、ハラスメントが起きにくい職場作りや、万一の対処法について研修を行うことがおすすめです。
そこで今回は、「ハラスメント研修の具体的な内容と実施のポイント」について紹介します。ハラスメント防止対策を検討中のご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
ハラスメントとは何か
まずは、「ハラスメント」について説明いたします。
ハラスメント本来の意味は「嫌がらせ」ですが、現在では単なる嫌がらせではなく、職場における不当な扱いやいじめ、権利侵害などの行為も、ハラスメントと呼ばれています。職場でよく見られるハラスメントをとしては、「パワーハラスメント(パワハラ)」「セクシャルハラスメント(セクハラ)」「マタニティハラスメント(マタハラ)」の3つが挙げられます。
厚生労働省では、ハラスメント問題に対応するために『あかるい職場応援団』という特設サイトを設け、パワハラ・セクハラ・マタハラの定義や、ハラスメント防止に関する情報や事例を紹介しています。
ハラスメント防止に有効な5つの研修内容
ハラスメント防止策としては様々なことが挙げられますが、まずは知識や情報を周知することから始めましょう。そのために必要なことが「ハラスメント研修」の実施です。どのような内容で実施すればよいのか、取り上げるべき5つの内容を紹介します。
1.現在の職場環境の振り返り
まずは日々の業務を振り返り、自分自身がハラスメントを受けていないか、ハラスメントを行っていないかを考えます。
ハラスメントでは、加害者に加害意識がないことも珍しくありません。実際にパワハラを行っている社員に指摘をすると、「そんなつもりはなかった」「指導しているだけ」と言うことがあります。セクハラ、マタハラも同様で、本人にはそのつもりがないハラスメント行為は後を絶ちません。このような人にハラスメント行為を自覚させるには、できるだけ客観的に自分の行為を振り返ってもらう必要があります。チェックリストを作る、社員同士で相互に振り返るなど、客観的に振り返る工夫をしましょう。
2.ハラスメントが起きる理由
職場環境を振り返った後は、どのような行為がハラスメントに該当するのか、ハラスメントが起こる原因や理由を考えます。
ここで効果的なことが、グループワークやロールプレイングです。実際のハラスメント事例を参考に、「どの行為がハラスメントに該当するのか」「なぜハラスメント行為を起こしてしまったのか」を考えましょう。事例として、社内で起きたハラスメントを使用すると、加害者・被害者の特定に繋がる恐れがあるため注意が必要です。
3.ハラスメント防止に向けた心構え
ハラスメントを防止するための心構えも、学ぶべき内容のひとつです。
その際、ハラスメントを起こさないための心構えを学ぶだけででなく、目撃者となった場合や、被害者となった場合の心構えや行動についても学ぶ必要があります。また、学ぶだけで終わらせず、日々の行動に落とし込むことが大切です。職場全体に対し周知徹底を図る、チェックリストを作り定期的に確認するなど、日々の行動を改善するための仕組みを作ることが望ましいです。
研修会社によっては、研修後のフォローとして、学んだことを日々の行動に落とし込むプログラムを提供しています。弊社でも、研修で身につけた知識・スキルの行動定着を促す「継続トレーニング」を提供しています。このようなサービスを提供している研修会社に委託するのもひとつの方法です。
4.ハラスメント防止に効果的なコミュニケーションスキルと価値観
ハラスメントが起きる理由のひとつに、コミュニケーションの未熟さや価値観の違いがあります。相手を否定する言葉を使ったコミュニケーションは「パワハラ」に該当する可能性が高く、また外見や性的魅力に対する評価は、相手が異性・同性にかかわらず「セクハラ」と捉えられることが多くあります。このようなハラスメントを防ぐためには、コミュニケーションスキルを高め、多様な価値観を認めて尊重するマインドを持つことが重要です。
5.ハラスメントが起きたときの対処法
ハラスメントを受けたり、目撃したときの対処法や相談窓口についても、研修で取り上げます。社内でハラスメントの専門窓口や担当を設置している場合、研修内で相談方法や、その後の対応についても共有すると良いでしょう。専門の担当がいない場合は、発生時の対応フローやマニュアルを周知し、ハラスメント発生時の対応が定まっていない場合には、早急に対応フローやマニュアルを作ることから始めましょう。
ハラスメント研修実施の3つのポイント
ハラスメント研修の実施にあたっては、3つのポイントがあります。
1.階層別に全労働者に対して行う
ハラスメント防止措置の対象は、正規・非正規にかかわらず全ての労働者を指し、派遣社員や外国人労働者・障がい者雇用も対象に含まれます。研修を行う際は、可能な限り全ての労働者に対し行うことが望ましいです。職場によっては、パート・アルバイトなどの非正規労働者が多く、研修が実施しにくいケースや、外国人労働者には言葉の問題があります。そのような場合には、ハラスメント研修を受講した社員が、職場の掲示物や日々のミーティングで伝えると良いでしょう。
2.定期的に繰り返し行う
ハラスメント研修は定期的に繰り返し行うとより効果的です。ハラスメントに対する意識が、1回の研修で変わることはありません。繰り返し行うことで、ハラスメントに対する意識を少しずつ変えていくことが望ましいでしょう。ハラスメントに特化した研修を繰り返し行うことが難しい場合には、「新入社員研修」「リーダー研修」「管理職研修」など、自社で既に行っている研修のカリキュラムに盛り込む方法もあります。
3.自社に合ったオリジナル内容で行う
研修を効果的にするポイントは、自社に合わせた内容で行うことです。ハラスメントが起きる背景には、企業風土などの要因が隠れている場合があります。厳しい指導が当たり前の職場であれば、パワハラに対する意識は低くなり、男性が多い職場では、セクハラ的な言動に対するハードルが低くなりがちです。また、妊娠・出産に対する理解があまり高くない職場では、マタハラが起きやすくなります。自社の企業風土を踏まえて行うと、参加者は研修を自分事化しやすくなり、研修の効果が上がります。弊社でも、企業様ごとに合わせたカリキュラムをご提案します。研修をより効果的にするためには、このような研修会社に依頼することも検討すると良いでしょう。
まとめ
2022年4月から、全ての企業に対しハラスメント防止措置が義務付けられました。ハラスメントに対する理解を深め、一人ひとりの意識を変えるには、「ハラスメント研修」が有効です。ハラスメントに対する知識を深める他、ハラスメントを防ぐ心構えや対処法も学びます。定期的に実施することで、ハラスメントが発生しにくい職場づくりに繋がります。
弊社では、各社に合わせたカリキュラムを作成し、研修後のフォローもご用意しております。研修実施をご検討されているご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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