【事例紹介有】公平な評価を実現する人事考課研修のポイント-社員教育のCAM
近年、企業規模を問わず多くの企業で「人事考課制度」が導入されています。中小企業庁が発表した2022年版中小企業白書 によると、その割合は以下の通りです。
- 従業員5~20人の企業 35%
- 従業員21~50人の企業 57.2%
- 従業員51~100人の企業 72.5%
- 従業員101人以上の企業 87.2%
しかしその一方で、人事考課制度をうまく運用できていないケースも少なくありません。特に被考課者の多くが、評価の公平さや評価内容のフィードバックなどに不満を抱いています。
被考課者のこのような不満を解消し、評価結果が納得して受け入れられ、成長のきっかけになる人事考課を行うには、考課者のスキル向上が不可欠です。考課者を対象に定期的に研修を実施し、継続的なスキルアップに取り組む必要があります。
そこで今回は、「人事考課研修の目的やポイント」について、弊社での導入事例も含めてご紹介いたします。
人事考課研修を実施すべき理由
そもそも、なぜ「人事考課研修」を実施すべきなのか、理由を解説します。
アデコグループが2018年に行った『「人事評価制度」に関する意識調査』によると、従業員(被考課者)の6割以上が、人事考課制度に対して何らかの不満を抱いていました。
被考課者が抱える主な不満の理由として、以下の3つが挙げられます。
- 評価基準が不明確
- 評価者によって評価のばらつきがあり不公平
- 評価結果のフィードバックや説明がない、あっても不十分
つまり被考課者は「明確な基準で公平な評価が行われ、結果がきちんとフィードバックされること」を求めていると言えます。
一方で考課者は、「自分が適切に人事考課を行えていると思うか」という質問に対し、7割以上が「そう思う」「どちらかというとそう思う」と答えており、自分が適切に人事考課が行えていると考える傾向があることがわかります。
また「自分が適切に人事考課を行えていない」と感じている考課者に、その原因を尋ねたところ、以下の3つが多く挙げられました。
- 数値評価しにくい業務の評価の難しさ
- 評価基準の曖昧さ
- 相対評価になってしまう難しさ
これらの結果から、人事考課制度に対する被評価者と評価者の意識について、次のような課題が見えてきます。
- 考課者は適切に評価できていると考えているが、被評価者は明確な基準に基づいて公平に評価されているとは感じていない
- 考課者も被評価者も、評価基準の曖昧さを感じている
これらの課題を解決するために、「人事考課研修」を行い、考課者が共通の基準を持ち、公平に評価できるようにする必要があります。
さらに、人事考課研修を実施する旨を社内に周知することで、被考課者に対して「考課者は公平な評価や適切なフィードバックについて学んでいる」ということを示し、人事考課に対する信頼性に繋げることができるでしょう。
人事考課研修の2つの目的
人事考課研修には、大きな目的が2つあります。
明確で公平な評価
先程もご紹介した通り、被考課者は「明確で公平な評価」を求めています。曖昧な基準に基づいた主観的な評価や、社内の人間関係に忖度した評価は、考課者や人事考課制度そのものに対する信頼を揺るがします。また、「自分が公平に評価されていない」という不満は、会社に対する不信感につながり、生産性の低下や離職にもつながりかねません。
客観的な評価を実現するためには、評価基準を明文化し、考課者一人ひとりがそれを理解していなければいけません。さらに、考課者同士ですり合わせを行い、評価の差をできる限り小さくしておく必要もあります。そのためには、人事考課研修で評価項目や評価基準・方法についても再確認する必要があります。
コミュニケーションスキルの向上
被考課者は、人事考課の結果の適切なフィードバックを求めています。その要望に応えるためにも、考課者は評価と理由をを明確に伝え、考課者のモチベーションを上げるコミュニケーションスキルを習得する必要があります。
そのため人事考課者研修では、結果のフィードバックや目標設定に必要なコミュニケーションスキルについても時間を設けると良いです。ケーススタディやロールプレイングを取り入れると、より実践的な内容を行うことができます。
人事考課研修を成功させる2つのポイント
人事考課研修を成功させるポイントを2つ紹介します。
自社の課題を洗い出す
人事考課研修に限りませんが、課題を解決するためには、そもそも「何が課題なのか」が知ることが大切です。そのため、まずは自社の課題を洗い出しましょう。注意すべき点は、先に紹介した調査結果のように、被考課者と考課者で感じ方が異なる可能性があるということです。研修の対象者である考課者だけでなく、被考課者にもヒアリングを行うことで、人事考課制度の課題を明確にしなければなりません。
自社に合ったカリキュラムで行う
明確になった課題を解決するには、その課題に応じたカリキュラムで研修を行うことが必要です。外部の研修会社に依頼することの多い「人事考課研修」ですが、研修会社が自社の課題について共に考え、効果的なカリキュラムが提案されているか確認しましょう。
弊社では、企業様の課題や要望をヒアリングした上で、課題解決に向けたカリキュラムをオーダーメイドで構築しております。さらに研修後のフォローにより、研修での学びを実践できるようサポートも行っております。このように、研修前から研修後まで一貫したサポートを行っている研修会社に依頼することで、より効果的な研修を実施できるでしょう。
効果的な人事考課研修の事例紹介
最後に、弊社で実施した人事考課研修の事例を2つ紹介します。ご検討中の皆様は、ぜひ参考にしてください。
【事例1】鉄鋼関連会社の事例
実施期間:2日間(うち1日はオンライン研修)
参加人数:29名
抱えていた課題:考課者ごとの偏りを無くし、部下のモチベーションを高めるような面談ができるようにしたい。
研修の内容:
人事考課に関する知識習得は事前課題とし、研修ではその知識を踏まえて、面談力向上を目的としたロールプレイングを中心に行いました。
ロールプレイングを通して、自分の課題に気づいたり新たな発見をすることができ、より実践的な研修にすることができました。新型コロナウイルスの影響により、1日はオンラインでの実施になりましたが、各参加者が積極的に取り組んだことで対面と遜色ない内容になりました。研修後には「ロールプレイングによって自分の受け答えの限界がわかり、実際の面談の際は、もっと準備をしないといけないと感じた」などの感想が寄せられました。
詳しくは「こちら」の研修レポートで紹介しております。
【事例2】化学工業業界の事例
実施時間:4時間
参加人数:38名
抱えていた課題:評価基準を明確にし、考課者の認識を統一したい。部下の役職や経験に応じた目標設定ができるようになる。
研修の内容:
まずは人事考課制度の意義や目的、考課者に求めていることを確認しました。その上で、部下のレベルに合った目標設定の方法とポイント、フィードバックの行い方のポイントを学びました。評価の目線合わせのためには、自社の評価シート(評価基準)を基にケーススタディの内容に5段階評価を付けました。研修後には「他部署の人と意見交換を行うことで、新たな気付きや、悩んでいた項目の理解につながった」などの感想が寄せられました。
まとめ
人事考課には大きく2つの課題があります。1つ目は考課者による評価のばらつきを抑え公平な評価を行うこと。2つ目は評価結果の適切なフィードバックです。これらは、人事考課に対する信頼性にも関わる重要な課題であるため、考課者を対象に「人事考課研修」を行い、評価基準やフィードバックの方法を理解させ、より公平な人事考課を行えるようにしましょう。
弊社でも、企業様ごとの課題や要望に合わせたオーダーメイドの「人事考課者研修」を行っています。人事考課研修でお悩みの企業様は、ぜひ一度お問い合わせください。
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