新入社員研修~オンラインでの役立つ実施方法と5つのポイントとは~
2020年度の新入社員研修は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、従来の集合型研修の実施が困難な状況となり、新入社員をどのように教育していくか、頭を悩ませた人事ご担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2021年度への検討時期を迎えるにあたり、新入社員を対象としたオンライン研修における効果的な実施方法やポイントをご紹介します。
新入社員研修の現状とは?
2020年3月に立教大学経営学部/中原淳研究室が、企業の人事担当者向けに行った調査によると、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、「2020年度の新入社員教育の研修内容・研修実施方法の変更を決めた/あるいは計画している」と回答した企業は、全体の61.7%を占めていました。
密閉、密集、密接の「3密」を避けるための手段として、テレビ会議システムを用いた「オンライン研修」の実施を検討されたり、研修そのものを中止された企業もいたようです。
また、「今年度行っている変更・工夫は2021年度以降の新入社員研修においても継続されそうだと思いますか。」という問いに対し、53.7%の企業が、「来年度も継続するだろう」と回答されました。現在もなお、収束の見通しが立っていないことから、このように考える企業はさらに増えているかもしれません。
今後、「新入社員研修の見直し」がより一層進むことは間違いないでしょう。
(参考:立教大学経営学部/中原淳研究室『コロナウィルス感染拡大によって「今春の新入社員教育」はどのように変わっていくのか?』)
オンライン研修の実施方法
実施方法につきましては、お手持ちのパソコンやスマートフォンから、ZoomなどのWeb会議システムを利用して受講ができます。
個人毎にパソコンを使用して自宅から受講するケースや、会社の会議室などから複数名で1台のパソコンを使用して受講するケースも多いようです。
オンラインで新入社員研修を行うメリット・デメリット
実施方法が分かったところで、メリット・デメリットをご紹介します。
■ メリット
- 受講者の姿勢が主体的になる
オンライン研修では“意欲が保ちづらい”と言われることもありますが、従来の集合型研修に比べ、“積極的に相手に伝える意識と行動”が求められることから、主体的に参加するようになります。さらに「チャットでの質疑応答」や「挙手ボタンでのリアクション」などを活用することで、学びの量と質を高めることや、集中力のキープに繋がります。
- 工夫次第で様々な活用法が生まれる
名刺交換や来客対応など、オンライン研修に不向きな内容もありますが、一方で、実際には顔が見えないのに、集合研修では対面で行っているロールプレイングも存在します。その一つが「電話応対」です。オンライン研修では、お互いのビデオ機能をオフにするだけで、顔が見えなくなるので、緊張感が増し、リアルに即した電話応対のロールプレイングが可能になります。
■ デメリット
- 新入社員間の仲間意識が希薄になる
オンラインで新入社員研修を行うデメリットとして、集合型研修に比べて同期の仲間意識の醸成がしにくいと考えられます。 集合型研修では、お互いの人となりがわかったり、チームワークが形成されたりと同期感の創出に繋がりますが、オンライン研修では、相互理解を深めるための時間や方法を得にくいという課題があります。 したがって、研修のほかに交流の機会を設けるなどの工夫があるといいでしょう。
オンラインで新入社員研修を行う際のポイント
メリット・デメリットを踏まえた上で、オンライン研修を実施することに決めた場合。当日を迎えるにあたって、人事担当者の皆様が押さえておくべきポイントが5つあります。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
- 一週間前までに事前準備を行う
- 研修実施の目的とゴールを明確にする
- 集中力をキープさせるための工夫
- 適度なリラックスに注意
- 研修後にフォローを行う
1.一週間前までに事前準備を行う
当日はスムーズに研修が行えるよう、「機材の動作確認」や「ネットワークの接続テスト」など、事前準備は一週間前までに済ませておきましょう。
また、新入社員の中にはビジネスマナーが身に付いていない人もいるため、参加する上での注意点を事前に共有しましょう。
例として、「当日の服装」「用意するもの」「何分前にアクセスするか」「マイクのミュート、カメラをオンにする」などが挙げられます。背景に余計なものが映り込んでいないかなど、セッティングに注意を促すことも大切です。
2.研修実施の目的とゴールを明確にする
他の研修にも共通して言えることですが、“何のために実施するのか、どんなスキルや知識を習得して欲しいか”、さらに“それをどのように業務に活かすか”という目的とゴールを明確にし、それを理解させることが重要です。
そのためには、事前に研修の流れを共有し、「研修で何を学び、どのように実務に落とし込むか」という目標を設定した上で受講することが効果的です。
また、目標を設定することで、より一層集中して取り組むことができることでしょう。
3.集中力をキープさせるための工夫
新入社員のような若い世代はオンラインに慣れている人が多いとはいえ、長時間モニターを見続けたり、ヘッドホンをし続けたりすることは負担がかかるので、適宜ブレイクタイムを設けましょう。
また、グループワークの時間を設けることも有効です。WEB会議システムZoomには、受講者を数名ずつのグループに分け、グループごとに部屋を作ることができる「ブレイクアウトルーム機能」があります。これを利用することで、ペアワークやグループワークが設定しやすく、受講者同士がコミュニケーションを取りながら課題に取り組むことができます。
4.過度なリラックスに注意
オンライン研修では、「対面よりリラックスして話せた」「普段の研修よりも意見が言いやすかった」という声があるように、他者の目を気にせずに、研修に集中できる環境をつくり出せる利点もあります。しかしながら、新入社員のような若い世代ではオンラインに慣れている人が多いため、慣れによる気の緩みが生じる場合があります。受講する前に社会人としての常識や自覚、態度を理解させ、研修に集中できる環境を整えるなど、学生気分のまま受講させないための工夫が必要です。
5. 研修後にフォローを行う
オンライン研修後は、受講者へのフォローも欠かさずに行いましょう。
受講後はレポートの提出や、後日に改めてフィードバックの機会を設けるなど、研修内容を落とし込めるようにフォローすることが重要です。
弊社では、研修で身につけた知識・スキルの「職場での実践・行動定着」を促し、実践結果をデータ化し、「測定・検証する」ための、継続トレーニングも実施しております。
まとめ
オンラインで新入社員研修を実施する際には、「事前事後、研修中のフォロー」が重要です。
「オンラインの操作に手間取って、内容が頭に入らなかった」「せっかく研修をしたのに、職場で活かされていない」という事態にならないよう、オンライン研修には事前事後、研修中のフォローが集合研修以上に必要であることを理解しましょう。今後、新入社員研修に限らず、オンライン研修が浸透し、進化していくことでしょう。新たな社員教育の手段として検討してみてはいかがでしょうか。
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